中国・新疆、砂漠を彩る「バラの帯」
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【9月30日 CNS】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のタクラマカン砂漠を上空から見下ろすと、果てしなく続く黄砂の南端に、数千キロにわたる花の帯が伸びている。まるで広大な砂漠に繊細な「縁取り」を施したような光景だ。これは観光向けの演出ではなく、新疆で近年進められている新たな砂漠化対策の一つ、「バラによる砂漠緑化」だ。使用されているのは、砂漠環境に適応するよう特別に育成されたバラである。
中国ではこれまでにも、菌草を使った砂地固定やポプラ林の再生など、さまざまな砂漠化対策が行われてきた。そこに加わったのがバラだ。一般には繊細な印象のあるバラを、どのように砂漠の厳しい環境で育てるのかが注目されている。
新疆の専門家や技術者は、地元農家とともに長年にわたり接ぎ木や試験栽培を繰り返し、乾燥環境に耐えられる品種を育成した。植栽の際には、まず麦わらなどを格子状に敷く「草方格」で流動する砂を固定する。さらに前方に樹木を植えて防風帯を作り、点滴灌漑で必要な水分を供給する。こうした環境を整えることで、バラの根は砂層の下約3メートルまで伸びるという。
2024年11月には、タクラマカン砂漠を取り囲む生態環境整備事業が新疆の于田県でつながり、10万株のバラの苗木が植えられた。半年後の生存率は90%に達した。この取り組みは新疆以外からも注目されている。タクラマカン砂漠を取り囲む防砂・緑化プロジェクトは、世界工学団体連盟(WFEO)の「2025年世界十大工学成果」に選ばれた。砂漠化に悩む中央アジアやアフリカ諸国からも視察団が新疆・ケリヤ県を訪れており、2026年には中国と中央アジア、アフリカの複数国との間で砂漠化対策技術をめぐる協力の意向がまとまっている。
ケリヤ県の砂漠に広がる花畑を歩くと、ゴビの風にバラの香りが混じる。2000年以上前に西域へ伝わり、かつては庭先を飾っていたバラが、現在では砂漠化対策の中心的な存在になっている。
砂漠特有の気候は、バラの生育にも独特の特徴をもたらしている。花は香りが強く、花びらに含まれるカテキンやポリフェノールなどの成分も一般的なバラより多いとされ、加工品への利用にも適している。
現在、砂漠のバラはスキンケア用品や食品など幅広く利用されている。ローズウォーターやフェイスマスク、ローズオイル入りせっけんのほか、バラ茶、バラジャム、新疆伝統のパン「ナン」にバラを取り入れた商品、バラをモチーフにしたアクセサリーなど、さまざまな関連商品が販売されている。
これらの商品は北京市や上海市など中国の大都市だけでなく、英国やフランスなど海外にも輸出されている。砂漠周辺に暮らす住民にとって、バラ栽培は新たな収入源にもなっている。現在、和田地区では8万5700ムー(約5713ヘクタール)の砂漠でバラが栽培されている。于田県だけでも、2025年のバラ産業の総生産額は2億3700万元(約55億6862万円)を突破し、5000世帯を超える地元住民が恩恵を受けた。
荒々しい砂漠と一面に広がる花畑という対照的な景観は、新たな観光資源にもなっている。于田県ではバラをテーマにした文化・観光イベントを開催し、砂漠の花畑、新疆の特色ある料理、地域文化を組み合わせて観光客を呼び込んでいる。
2025年のバラ文化観光フェスティバルでは、3日間で延べ2万1300人以上が訪れ、直接消費額は約38万元(約892万8594円)に達した。観光客はバラジャムやバラ入りナン作りを体験できるほか、花畑にある宿泊施設に滞在し、砂漠の夕日や星空を楽しむこともできる。
甘粛省(Gansu)から訪れた徐斌(Xu Bin)さんは、「ここには特色ある砂漠のバラがあり、地元の料理も楽しめます。ケリヤ県の景色や文化はとても印象に残りました。次は家族を連れて来たいです」と話した。
バラ産業は、地元の若者が故郷にとどまるきっかけにもなっている。27歳のルキャム・ウジャブラさんは2023年から、中国のショート動画アプリ「抖音(Douyin)」で地元の砂漠バラをライブ販売している。再生回数100万回を超える動画を通じて新疆以外にも商品が知られるようになり、トン単位の注文につながったほか、ウイグル伝統医薬を手掛ける製薬会社、新疆維吾爾薬業などの企業との取引も実現した。
2026年春には、中国のリアリティー番組「種地吧」第4シーズンがケリヤ県を訪れた。出演者が地元住民や砂漠化対策のボランティアとともに土地を整備し、200ムー(約13.3ヘクタール)に砂漠バラを植栽。防風林としてグミ科の沙棗(サソウ)も植えた。
番組を通じて、「砂漠のバラ」は美しさと強さを象徴する存在として、より多くの人に知られるようになっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News