ウクライナで捕虜となった北朝鮮兵2人=ゼレンスキー大統領のX画面キャプチャ(c)news1
ウクライナで捕虜となった北朝鮮兵2人=ゼレンスキー大統領のX画面キャプチャ(c)news1

【09月25日 KOREA WAVE】ロシアのウクライナ侵攻に派兵され、ウクライナ側の捕虜となった北朝鮮兵2人が最近、韓国に移送された。戦争で捕虜となった北朝鮮兵が韓国行きを選んだ異例のケースだけに、南北関係への影響が注目されている。

ゼレンスキー大統領は23日(現地時間)、国連総会の一般討論演説で、ウクライナ側が拘束していた北朝鮮兵捕虜2人を最近、韓国へ送ったと明らかにした。

2人の存在は2025年1月、ゼレンスキー大統領のSNSで初めて公表された。その後、2人は赤十字国際委員会(ICRC)との面談や韓国メディアのインタビューなどで、韓国行きを希望する意向を示していた。

現在の南北関係を踏まえると、北朝鮮が2人の韓国移送を韓国やウクライナ、西側諸国による「工作」だと主張し、反発する可能性が指摘されている。ロシアへの派兵の正当性を強調し、韓国や米国に対する敵対政策の根拠として利用する可能性もある。

一方、専門家の間では北朝鮮が沈黙を続ける可能性が高いとの見方も出ている。北朝鮮兵捕虜の存在や韓国行きが国内に広く知られれば、北朝鮮当局にとって内部結束への負担になり得るためだ。

梨花女子大学のパク・ウォンゴン教授は「北朝鮮はこれまで、ロシアに派兵され犠牲となった兵士に『英雄の物語』を与えてきたが、この2人はその物語に決定的な亀裂を生じさせる」と分析。「北朝鮮にとって、この問題を公に扱うことは体制の欠陥を露呈することになりかねず、目立たない形で対応する可能性が高い」との見方を示した。

南北関係を管理したい韓国政府も、北朝鮮兵捕虜の移送が新たな南北間の懸案とならないよう慎重に対応するとみられている。

慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「政府は可能な限り問題を生じさせないため、これまで非公開で交渉を続けてきたのだろう」と指摘した。

韓国政府もゼレンスキー大統領の発表直後、「これまでウクライナ側をはじめ、関係国・機関と必要な意思疎通と協議を進めてきた」と説明。その一方で「当事者や家族の安全に関わる敏感な問題であるため、個々の身柄の扱いや時期、経路、両国間の具体的な協議内容については確認が難しい」と慎重な立場を示した。

今後の変数となるのは、2人が韓国で定着支援教育を終えた後の活動だ。公の場で北朝鮮体制について否定的な発言をした場合、北朝鮮が反発する可能性がある。また、韓国政府が北朝鮮の実情を把握するために記録する2人の証言が公開された場合も、南北間の対立要因となる可能性が指摘されている。

イム教授は「政府が捕虜を記者会見に出席させたり、公の場でウクライナ戦争の惨状について証言させたりすれば、北朝鮮は非常に強く反発するだろう」との見方を示した。

一方、北朝鮮当局がすでにロシアを介して、2人の韓国移送について立場をウクライナ側に伝えていた可能性も指摘されている。

ウクライナとロシアはこれまで捕虜交換を重ねており、その過程で北朝鮮もロシアを介して2人に対する「権利」を主張していたとされる。しかし、韓国による武器支援がないままウクライナが2人を韓国へ移送したことから、北朝鮮側が権利の主張を取り下げた可能性もあるとの見方が出ている。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News