【9月29日 CNS】「世界を見渡しても、中国は『大きさ』と『新しさ』という二つの特徴を併せ持つ、唯一の有望市場かもしれない」

9月1日、中国側は北京市で米中貿易全国委員会(USCBC)の理事会訪中団と会談した際、こう述べた。これは中国市場に対する評価であると同時に、米国企業に向けた明確な呼びかけでもある。

では、「大きさ」と「新しさ」を併せ持つとは、具体的に何を意味するのか。まず「大きさ」を支えているのが、中国市場の規模だ。

2025年、中国の社会消費品小売総額は50兆元(約1145兆3600億円)を突破した。同年の乗用車小売販売台数は2300万台を超え、家電と通信機器の小売額はいずれも1兆元(約22兆9072億円)を突破した。世界経済への下押し圧力が続く中、こうした数字は実際の購買力を示すとともに、中国の巨大市場が安定した需要を生み出していることを物語っている。

市場規模の大きさは、現在だけにとどまらない。中国の人口は14億人を超える。中国商務部政策研究室の予測では、中所得層は今後10年間で8億人を超え、1人当たりGDPも中程度の先進国の水準に達する見通しだ。所得が増えれば、より質の高い暮らしを求める需要も高まり、巨大市場にはなお大きな成長余地がある。

一方、「新しさ」を支えているのは新たな成長の原動力だ。その動きは大きく二つの方向から見ることができる。一つは、巨大な消費需要がイノベーションを促し、そのイノベーションがさらに新たな消費を生み出していることだ。

スマートな暮らしへの需要が高まる中、スマートホーム機器やウェアラブル端末などが一般家庭へ普及し始めている。米調査会社IDCは、2030年までに中国の具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)ロボットに対するユーザー支出が770億ドル(約12兆1860億円)に達すると予測している。

環境負荷の少ない移動手段への需要も高まっている。2026年上半期、中国の新エネルギー車(NEV)は生産、販売ともに700万台を突破した。7月には乗用車の国内小売販売に占めるNEVの割合が65.1%に達し、新車3台のうち約2台をNEVが占めた。

もう一つは、科学技術と産業のイノベーションが融合し、中国市場が先端技術や未来産業の成長を支える場となっていることだ。人工知能(AI)を例にすると、2025年の中国のAI中核産業の規模は1兆2000億元(約27兆4886億円)を突破し、関連企業は6200社を超えた。コネクテッドカーや低空経済、具身知能などの未来産業も、研究段階から実用化へ向けた動きを加速させている。

消費者の需要が方向性を示し、産業がそれに応える。中国のイノベーションにおける特徴の一つは、先端技術を短期間で大量生産につなげ、一般消費者にも手の届く製品へ転換できる点にある。

さらに重要なのは、この「新しさ」を政策面から支える仕組みがあることだ。2026年7月に発表された消費拡大に関する第15次5か年計画では、「AI+消費」を積極的に推進する方針が示された。続いて商務部など7部門が発表した商品消費の拡大・高度化に関する実施意見では、2030年までに社会消費品小売総額を60兆元(約1374兆4320億円)前後とし、グリーン、スマート、健康などの分野でそれぞれ10兆元(約229兆720億円)規模の市場を育成する目標が掲げられた。

全体計画と具体的な実施策を組み合わせ、内需拡大を進める方針で、関連分野では政策、財政、税制などを通じた支援が進められる。「大きさ」が市場の規模を、「新しさ」が成長の原動力を生み出す。この二つを同時に備える市場は、世界でも中国だけかもしれない。中国側が今回、米国企業に向けて示したメッセージも明確だ。米国企業が機会を積極的に捉え、中国市場への進出をさらに深めることを歓迎するとしている。スマート消費やグリーン消費をはじめとする高品質・高度化型の消費分野は、それぞれ具体的なビジネス機会につながる。

この発言は、米国政府に向けたメッセージでもある。「デカップリング(切り離し)」やサプライチェーンの分断をめぐる議論が繰り返される中、中国側は市場の「大きさ」と「新しさ」を示すことで、経済協力の継続を呼びかけている。

中国側は、中米経済・貿易関係の本質は互恵・ウィンウィンにあり、協力強化は双方の内在的なニーズに合致する唯一の正しい道だとしている。実際、米国企業の投資意欲も依然としてみられる。

在中国米国商工会議所の「2026年中国ビジネス環境調査報告」によると、回答した米国企業の6割近くが中国での投資を増やす計画を示した。今年5月のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の訪中後には、同商工会議所による中国各地での企業交流も相次いで行われ、米国企業の関心は中国市場に残るかどうかではなく、どの分野で事業を深めるかへ移りつつある。

中米の経済・貿易関係は規模が大きく、結び付きも深いだけに、対立や摩擦が生じることは避けられない。重要なのは、それをどう捉え、対処するかだ。中国側が米国企業による中国市場へのさらなる進出を歓迎する姿勢は、市場の実情を踏まえた判断であり、互恵関係を重視する姿勢でもある。双方が相違を乗り越え、機会を捉えることができれば、中米経済・貿易協力にはなお大きな余地が残されている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News