【9月22日 AFP】欧州連合(EU)加盟国首脳で唯一ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と親密な関係を維持するスロバキアのロベルト・フィツォ首相が西側の政治家について、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの直接戦争を引き起こすために「あらゆる手段を尽くさなければならない」と考えていると非難し、隣国チェコの大統領の反発を買った。

2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、欧州各国の首脳は欧州全域で頻発しロシアの関与が疑われる「シャドーオペレーション(ハイブリッド戦争の一環としての秘密工作)」への警戒を強めている。

フィツォ首相は19日、フェイスブックに投稿した動画で、西側諸国がNATOとロシアの「戦争」を画策していると主張。

「ウクライナでの戦争を通じてロシアを滅亡させるという戦略の失敗を受け、西側の多くの政治家は、ウクライナ軍を全面支援することによってこれ(ロシアの滅亡)が達成できないのであれば、NATOとロシアの戦争を引き起こすためにあらゆる手段を尽くさなければならないという考えに至っている」と述べた。

フィツォ首相は17日にも、北大西洋条約第5条(集団防衛条項)を念頭に、「スロバキアが第5条の発動によって武力衝突に巻き込まれることを望まない」と述べていた。

北大西洋条約第5条は、加盟国が攻撃を受けた際に他の加盟国に支援(集団防衛)義務を課す規定だが、NATO側はこの支援に必ずしも武力行使が含まれるとは限らないと説明している。

フィツォ首相の一連の発言に対し、2015~2018年にNATO軍事委員長を務めたチェコのペトル・パベル大統領が激しく反発した。

パベル大統領は20日、「これは極めて重大な発言であり、われわれは真剣に受け止めなければならない。絶対に同調してはならない」「このような発言をする人物は、連帯という言葉の意味を理解していない。チェコがこのような道を進まないことを切に願う」と批判した。

一方、フィツォ首相の盟友で、スロバキア出身であるチェコのアンドレイ・バビシュ首相は21日、同国政府として「当然ながら(NATO条約)第5条を尊重する」と強調。

その上で「フィツォ首相の発言についてコメントするつもりはない」と述べ、議論への介入を避けた。

国家(民族)主義のバビシュ政権およびフィツォ政権は平和の促進を掲げ、ウクライナに対する直接的な軍事支援の提供を拒否している。(c)AFP