16日、ソウル市鍾路区の政府ソウル庁舎で妊娠中絶薬の導入方針を発表するウォン・ミンギョン(元玟京)性平等家族相=2026年9月16日(c)news1
16日、ソウル市鍾路区の政府ソウル庁舎で妊娠中絶薬の導入方針を発表するウォン・ミンギョン(元玟京)性平等家族相=2026年9月16日(c)news1

【09月20日 KOREA WAVE】韓国政府が、人工妊娠中絶を処罰する刑法の規定に対する憲法不合致決定から7年を経て、妊娠中絶薬の導入に乗り出した。安全性が確認された薬を国の医療制度の中で管理することに歓迎の声が上がる一方、薬へのアクセスや医療上の安全対策、胎児の生命権などを巡り、課題も指摘されている。

女性団体からは導入を歓迎する声が相次いだ。性と生殖に関する権利を訴える団体「SHARE」のナ・ヨン代表は「食品医薬品安全処や保健福祉省が責任を果たしてこなかった状況で、今からでも導入を決めたことは非常に歓迎すべきことだ」と述べた。

翰林大学社会学科のシン・ギョンア教授も「当然のことだ」とした上で、導入後に実際の使用を円滑にする必要があると指摘した。韓国女性政治ネットワークは、安全で検証された医療サービスへのアクセスに向けた制度的基盤を整える点で「意味のある進展」と評価した。

一方、政府が導入当初の2年間、医療機関内で医師が処方と調剤の両方を担当する方針を示したことには、アクセスの面から懸念も出ている。ナ・ヨン代表は、医療機関の利用時間や通院条件によって患者が薬を利用しにくくなる可能性を指摘。韓国女性民友会も、アクセスを大幅に制限すれば、薬が承認されても医療現場での処方や利用が広がらない可能性があると主張した。

医療界からは、5年間続いている法整備の空白を解消すべきだとの声が上がった。大韓産婦人科医師会は、導入そのものには原則として反対しないとしながら、患者の安全と医療従事者の法的保護を確保する制度が先に必要だとの立場を示した。

特に妊娠中絶薬の使用後、不完全流産や大量出血が発生した場合には外科的処置や救急医療との連携が必要になるとして、救急医療体制と医療従事者を法的に保護する仕組みの必要性を強調した。

宗教界からは反対の声が出ている。プロテスタント関係者は「胎児の生命権を国家が損なっている」と主張し、承認手続きの中止や相談・熟慮の手続き、使用後の管理体制を法制化するよう求めた。

韓国政府は早ければ2027年第1四半期に、妊娠9週以内に使用できる妊娠中絶薬を導入する方針。当初2年間は医療機関内での処方・調剤を原則とし、その後、安全性や法制度の整備状況を踏まえ、薬局での調剤へ段階的に拡大する案を進める。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News