蔚山世界未来産業博覧会「WAVE2026」のSK展示館で、製造AX関連の展示について説明を聞く来場者=SKイノベーション(c)news1
蔚山世界未来産業博覧会「WAVE2026」のSK展示館で、製造AX関連の展示について説明を聞く来場者=SKイノベーション(c)news1

【09月19日 KOREA WAVE】韓国SKイノベーションが、蔚山CLX(Complex)で人工知能(AI)を活用した製造現場の改革を加速している。製品の生産から設備点検までAIを導入し、2030年には年間約1000億ウォン(約106億円)規模の生産性向上を目指す。

蔚山CLXは1964年に稼働した韓国初の製油所で、敷地は約250万坪。約3000人が勤務する。重質油分解工程(HOU)の制御室では、多数のモニターを使って工場各所を防犯カメラで確認し、配管の温度や圧力、流量などをリアルタイムで監視している。

今後はAIが大量のデータを分析し、製品生産に最適な数値をリアルタイムで提示する。すでに一部工程では高度プロセス制御(APC)システムを導入。温度や製品投入量などの変数を変更した場合の結果を予測し、目的の製品を得るための最適な設定値を示すことで、操業効率を高める。

蔚山CLXが本格的に推進しているのが、AIと現場の技術者が共同で工場を運営する「デュアルブレイン」体制だ。24時間稼働する「ブレインAI」が工程や設備のデータをリアルタイムで分析して異常を検知し、予測や対応策を提示する。その情報を基に「ヒューマンブレイン」である現場の技術者が最終判断を下す。

現在、98工程のうち7工程で機械学習モデルを構築し、最適化を進めている。工程で使う蒸気や電力、水などの使用量をAIでリアルタイムに調整し、エネルギーコストを最適化する計画だ。

設備管理も、故障後の対応から事前予測へ切り替える。ポンプなどの主要な回転機器では、監視プラットフォーム「SKADI」が振動や温度の変化をリアルタイムで確認し、異常の兆候や原因を把握。整備計画AIが最適な整備時期や作業計画を提案する。

現場の巡回にもロボットやドローンなどを活用し、人が近づきにくい場所や危険な作業を担わせる方針だ。2026年は予測モデルと連携するAIエージェントの開発・検証に着手し、2027年からデータ基盤を拡充。2028年までにブレインAIの信頼性を確保し、2030年以降はAI活用をさらに拡大する計画だ。

蔚山CLXでは98の複合工程が相互につながり、一つの工程の運転条件が別の工程の生産量や品質、歩留まり、エネルギー使用量にも影響する。約250万坪の敷地では年間33万件の作業があり、目視だけで確認するには限界がある。さらに60年間蓄積された現場のノウハウをデータ化する必要もあるという。

蔚山CLX製造AIチームのチョン・チャンフン氏は「AIが人に代わるのではなく、人が見落とさざるを得ない時間と空間の隙間を埋めるものだ」と説明。「60年前に韓国初の製油所として出発した蔚山CLXを、60年後には人間とAIが協力するデュアルブレインで運営される工場にしていく」と述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News