【9月27日 東方新報】阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)傘下動画ストリーミングの優酷(Youku)製作、蒋継正(Jiang Jizheng)監督、井柏然(Jing Boran)、孫千(Sun Qian)が主演を務める都市恋愛ドラマ『早春晴朗(英題:The Early Spring)』が8月26日に配信を開始した。わずか数日のうちに、このドラマは中国国内・海外市場の両方で予想を上回る話題を呼んでいる。
 
中国国内市場では、放送開始から3日で作品内の話題度指標が1万を突破し、2026年の現代恋愛ジャンルで最速の記録を樹立した。配信期間中、中国の動画配信データを分析する「雲合」の実写作品ランキングで首位を維持し、最高シェアは27.7%を記録。中国の映像作品データプラットフォーム「灯塔」「猫眼」などの人気ランキングでも上位に入った。

 
一方で、このドラマの海外市場でのデータはさらに注目に値するかもしれない。ネットフリックス(Netflix)の8月24日~30日の週間集計期間中、配信からわずか5日で全世界非英語ドラマ週間ランキング2位を獲得した。同ランキングのトップ10入りを果たした唯一の中国ドラマとなり、中国製ドラマとして同ランキングでの過去最高順位を更新した。配信開始から2日以内にNetflix全世界デイリーランキングで6位に浮上し、54の国・地域のデイリーランキングでトップ10入りした。シンガポール、ベトナム、タイ、インドネシア、香港、台湾ではデイリーランキング首位を獲得し、ブラジルでは2位にランクインした。
 
Netflix公式ニュースルームも特集記事を掲載し、主演2人の掛け合いによる化学反応が世界的な話題を呼んだ要因であると評価した。インドネシアの「CNN Indonesia」、インドの「The Hindu」「ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)」など各国のメディアが相次いで報道し、物語の構成や制作面での新しさなど、さまざまな角度からこの中国発の都市恋愛物語を読み解いている。中でも、このドラマが専門のインティマシーコーディネーター(親密シーン指導者)を体系的に導入した初めての試みとして、「中国本土のテレビドラマ制作における大きな進歩」と評価された。
 
これまで、中国製ドラマの海外への広がりは、ある程度、時代劇やサスペンスといった特徴の強いジャンルに依存する傾向があった。こうした中で、東方的な世界観による新鮮さが海外市場を切り開く一因になっているとされる一方、都市恋愛ものは文化的背景の違いに制約され、大きな話題を呼び、境界を超えて広まることは難しいとされてきた。『早春晴朗』は、ある意味でこの固定観念を打ち破っており、その背景にある理由は注目に値する。
 
視聴者の反応を見ると、海外の観客が共感したポイントは主に2つの点に集中している。一つは、繊細で抑制の効いた大人の恋愛描写であり、もう一つは共感を呼ぶ都市の職場でのサバイバル体験だ。物語は北京市で働く広告業界を舞台に、新人の尚之桃(シャン・ジータオ)と上司の欒念(ルアン・ニエン)が、プレッシャーの大きい職場環境の中で互いに様子を探り合い、共に成長していく物語を描く。ありがちなアイドルドラマがわざとらしく仕込む甘い展開とは一線を画し、劇中の恋愛描写はゆっくりと積み重ねられ、その曖昧な感情は視線やささいなやり取りの中に潜んでおり、強引な衝突や過度にドラマチックな展開はない。
 
海外の批評の多くは、このドラマが依然として甘さの強いアイドルドラマでありながら、ある程度、このジャンルにありがちな「作られた甘さ」の型を抜け出し、大人同士の慎重で、引っぱり合いながらも互いを照らし合うような恋愛関係を、ある程度描き出していると指摘する。登場人物は完璧な紙人形のような存在ではなく、劣等感を抱いたり、ためらったり、親密な関係の中での自己消耗を抱えたりする。同時に、俳優の演技が持つ自然な「息づかい」、抑制の効いた繊細な感情表現が、国境を越えた視聴者の心をとらえる重要な要素になったと考えられている。
 
この海外での高い人気は、中国製ドラマの海外進出には、まだ多くの可能性があることを映し出しているのかもしれない。現代恋愛ドラマとしてのファッション性の高い美意識を保ちながら、スタイリングからセリフ、舞台美術から感情のやり取りに至るまで、このドラマは登場人物の描写にとりわけ力を注いでおり、その生活感のある物語運びが、キャラクターと物語にリアリティと生命力をもたらしている。
 
もちろん、国内外の評価には微妙な温度差もある。中国の視聴者にとって、物語の中の職場描写はやや理想化された色合いを帯びており、業界を完全に写実的に描くというよりも、恋愛物語を成立させるための舞台装置として受け止められている。一方で、こうした現地の職場を体験したことのない海外の視聴者にとっては、現実を土台としながらも穏やかなユートピア的な描写が、むしろ受け入れられやすい。ここから、業界にとって考えるべき課題も見えてくる。現代を舞台にした作品の海外進出において、共通する感情に訴えかけて共感を得ることはもちろん貴重だが、大衆向けの物語という枠組みの中で、いかに現地の生活ならではの独自の肌合いを残すかは、コンテンツ制作において引き続き模索すべき方向性である。(c)東方新報/AFPBB News