【三里河中国経済観察】中国・遼寧省、海洋経済を成長の新たな原動力に
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【9月25日 CNS】中国東北部の遼寧省(Liaoning)が、豊富な海洋資源を生かした経済成長に力を入れている。
遼寧省は7月22日、省全体の海洋経済発展大会を開催し、海洋経済の強い省を建設することについて、「遼寧省が発展の基盤を固め、国の発展の歩みに早急に追いつくための戦略的措置」と位置づけ、「情勢を正しく認識し、格差や課題に正面から向き合わなければならない」と強調した。
海洋資源の豊富さでは、遼寧省は中国でも有数だ。海洋への進出を強化することは、遼寧省の全面的な振興に向けた新たな成長戦略であるだけでなく、中国東北部全体の発展を活性化し、北東アジアとの経済関係にも影響を与える重要な取り組みとなる。
遼寧省の海域面積は陸地面積をわずかに上回る。2200キロ以上に及ぶ海岸線は渤海と黄海にまたがり、「N」の字を描くように延びている。省内には六つの主要港があり、大連市(Dalian)、営口市(Yingkou)、盤錦市(Panjing)、丹東市(Dandong)の各港には複数の大水深バースが整備されている。
中国全体で見ても、海洋は経済発展における重要性を増しており、豊富な海洋資源を持つ遼寧省の戦略的な位置づけは高まっている。また、中国東北部の振興という観点では、遼寧省の港湾群は東北地方にとって唯一の海への玄関口だ。沿海地域の経済が活性化すれば、東北全体に世界市場へつながる物流ルートと新たな成長力をもたらすことができる。
遼寧省自身の質の高い発展という点でも、海洋経済への期待は大きい。従来の重工業を転換・高度化するだけでは新たな成長余地が徐々に限られてきており、海洋経済は成長性の高い新分野として、遼寧経済を押し上げる重要な原動力となりつつある。
しかし、これまで遼寧省は豊富な海洋資源を十分に経済成長へ結びつけてきたとは言い難い。長年、政策の重点は伝統的な重工業の転換と高度化に置かれ、「沿海地域」としての特徴は「重工業基地」というイメージの陰に隠れてきた。
現在、遼寧省に求められているのは、発展戦略そのものの転換だ。単に地理的に海に面した省であるだけでなく、海洋を実際の経済活動に生かす「経済的な沿海省」へと転換し、沿海地域の価値を再発見して、経済の地理的構造を組み直す必要がある。
現在、遼寧省の港湾は、付加価値を生み出す拠点というより、貨物が通過する「物流ルート」としての役割が中心となっている。沿海地域と内陸部の経済的な連携も十分ではない。船舶や貨物が行き交っても、遼寧省内に残る経済効果は限られている。港湾を核に湾岸経済を発展させた浙江省(Zhejiang)や、港湾を原動力に半島地域の都市群を成長させた山東省(Shangdong)とは対照的だ。
その背景には、港湾統合後の連携不足に加え、臨港産業では企業が存在しても産業クラスターが十分に形成されていないことや、沿海部と内陸部が一体的に発展していないといった問題がある。
さらに根底には、海洋資源を内陸型の発想で捉えてきたという課題もある。海に面しているという「形」はあっても、その強みを経済に生かす「中身」が十分ではなかったということだ。
こうした状況を打開するには、港湾や海岸線を単なる物流インフラではなく、付加価値を生み出す拠点へと転換する具体的な取り組みが必要となる。
まず、大連を北東アジアの国際海運センターとして強化することだ。大連港は中国東北部を代表する港湾だが、現在の貨物取扱量は過去のピークを下回っている。制度や運営体制を整え、大連が国や地域の戦略における役割を十分に担えるようにするとともに、東北地方を海と陸で結ぶ大規模な物流ルートを構築し、大連港と市街地、大連と遼寧省、さらに遼寧省と東北各地との経済的なつながりを強化する必要がある。
次に、沿海都市と内陸都市の連携強化だ。遼寧省では現在、沿海部の6都市と内陸都市を組み合わせて発展させ、利益を共有する仕組みづくりを進めている。今後は政策による後押しだけでなく、市場原理に基づく協力をさらに拡大し、企業と港湾、港湾と内陸地域の間で「一対多」「多対多」の連携を形成することが求められる。陸と海の間で貨物、資金、情報が双方向に流れるネットワークを構築する狙いだ。
三つ目は、国の重要な海洋戦略をより多く担うことだ。国家戦略と地域の発展を結びつけ、深海・極地研究や海洋関連の未来産業における実証拠点となることを目指すほか、国家戦略物資の備蓄などでも重要な役割を担うことが期待される。
四つ目は、ビジネス環境の継続的な改善だ。海洋を生かした経済への転換も、一連の戦略を実現する上でも、基盤となるのは企業が活動しやすい環境である。遼寧省には既存の問題を改革し、市場化、法治化、国際化を進めるとともに、海域利用の審査や必要な資源の確保などで制度改革を進め、海洋経済の発展を妨げる障壁を取り除くことが求められている。
データによると、2025年の遼寧省の海洋総生産(GOP)は速報値で5902億元だった。今年7月に発表された「遼寧省第15次5カ年計画期海洋経済発展計画」では、2030年までに海洋総生産を8000億元(約18兆4033億円)に引き上げ、さらなる成長を目指すという具体的な目標が示された。
遼寧省が、単に「地理的に海に面している省」から「海を経済成長に生かす省」へと転換することは、同省が中国東部沿海地域の経済大省として再び存在感を高めるための選択肢であると同時に、中国東北部全体の振興にも新たな可能性を開く。
海洋をいかに活用するか。それが今後の遼寧省の成長を左右する重要な課題となっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News