四川・自貢の「ご当地月餅」が話題に
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【9月24日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)自貢市(Zigong)の女性パティシエが、従来の月餅のイメージを覆すユニークな月餅を作り、話題を集めている。半年かけてアイデアを練り、すべて手作業で仕上げたもので、自貢の文化をテーマにした8種類の月餅には、地元の名所や名物料理などが表現されている。
精巧なデザインに、ネットユーザーからは「限定フィギュアのように精巧で、食べるのがもったいない」といった声も寄せられている。この月餅を手掛けたのは、1980年代生まれの張琬鈴(Zhang Wanling)さん。長年製菓業界に携わり、自貢市内で「壹茉甜品」というケーキ店を経営している。スイーツや季節の菓子の商品開発に取り組む一方、中国の伝統文化、とりわけ自貢の地域文化に強い関心を持ってきた。
張さんによると、きっかけは2025年に参加した製菓業界の交流・研修だった。中国各地で、地域の文化や特色を菓子のデザインに取り入れる動きが広がっていることを知った。地域性を打ち出すことで、似通った商品との差別化を図り、消費者からも支持を集めていたという。
自貢には千年に及ぶ製塩の歴史をはじめ、恐竜やランタンにまつわる文化、さまざまな無形文化遺産がある。一方、こうした地域文化が中秋節の月餅のような身近な商品に取り入れられることは少なかった。そこで張さんは、故郷の風景や歴史、食文化を月餅に盛り込み、「一つ一つの月餅を自貢文化を伝える小さな媒体にしたい」と考えた。
アイデアを形にするまでには半年を要した。張さんは自貢各地の文化施設や名所を実際に訪れ、月餅に取り入れる題材を選んだ。最終的に採用したのは8つのテーマ。深さ1000メートルを超える地下の塩水をくみ上げる井戸「燊海井」や自貢塩業歴史博物館、自貢恐竜博物館、中国の国家級無形文化遺産に登録されている竹製の扇子「龔扇」、川劇の隈取り、ランタンをモチーフにした錦鯉、自貢名物のウサギ料理「冷吃兎」、そして「自貢」の文字などだ。歴史、観光、伝統工芸、食文化というさまざまな角度から自貢の特色を表現した。
テーマを決めた後も、張さんとスタッフはデザインについて何度も検討を重ねた。各モチーフの比率や細かな模様を調整し、見た目の美しさと分かりやすさの両立を目指した。張さん自身が月餅の型の図案を描き、メーカーと何度も修正や試作を重ね、オリジナルの型を完成させた。
一般的な量産型の月餅とは異なり、8種類はそれぞれ形だけでなく味にも特色がある。デザインに合わせて自貢らしい風味の餡を組み合わせ、見た目と味の両面で地域性を表現している。
張さんがSNSや短編動画プラットフォームで製作過程や完成品を紹介すると、短期間で多くの反響が寄せられた。地元住民や故郷を離れて暮らす自貢出身者から注文が相次ぎ、数日間で200件を超える予約が入ったという。
ただ、すべて手作りのため、生産できる数には限りがある。工程も複雑で、一つ一つの品質や細部を保つため、今年は500セット限定で販売する予定だ。
「私にとって、この月餅は単なる季節商品ではなく、故郷への思いを形にしたものです。伝統文化と現代の食文化を融合させる試みでもあります」と張さんは話す。
今後も自貢の「塩」「恐竜」「ランタン」「食」などの地域文化を掘り起こし、それらを取り入れた菓子の商品開発を続けるという。若い世代ならではの発想で伝統文化を現代に受け継ぎ、食を通じてより多くの人に自貢の魅力を知ってもらいたいとしている。(c)東方新報/AFPBB News