【9月18日 CNS】8月28日、S&Pグローバル・レーティング(S&P Global Ratings)は、中国の長期ソブリン信用格付けを「A+」、見通しを「安定的」に据え置いた。国内外を取り巻く環境が複雑さを増す中、「A+」という評価は、中国経済のマクロ面での強靱性、安定した財政運営、リスク管理能力に対する国際市場の信頼を示すものとなった。

今年上半期、中国経済はさまざまな圧力を受けながらも成長を維持した。その背景には、長期的な視点に立った政策運営と、巨大な国内市場が持つ成長余力がある。外部環境の不確実性が高まる中でも、中国経済は4.7%の成長を実現し、質の高い発展に向けた底力と潜在力を示した。

まず、経済規模の拡大を見ると、今年上半期のGDPは前年同期から3兆6000億元(約82兆2733億円)増え、上半期としては過去5年間で最大の増加額となった。経済規模がすでに大きくなっている中での成長には相応の重みがある。

この増加は単なる規模の拡大ではなく、産業構造の高度化や成長エンジンの転換によってもたらされたものでもある。政策による後押しに加え、企業などの事業主体が厳しい環境に対応してきた結果でもある。

現在の成長率が生み出す経済規模は過去よりはるかに大きい。経済の拡大は市場への供給増加や雇用機会の創出、「新質生産力」の形成につながり、景気の下押し圧力を和らげている。外部環境の不安定さや予測困難な要因が増える中でも、中国経済は一定の成長力を維持している。

成長の原動力を見ると、新たな産業やビジネスが存在感を高めている。暫定的な試算では、今年上半期、高度製造業、デジタル・スマート経済、現代サービス業などの新たな成長分野が経済成長に寄与した割合は40%を超えた。

その背景にあるのが、巨大な経済規模と幅広い産業を網羅するサプライチェーンだ。新たな成長分野は、長年にわたって形成されてきた産業基盤や高度なシステム統合能力の上に育っている。

従来型産業の高度化も続いている。既存の産業基盤から、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽光発電製品の「新三様」と呼ばれる新産業が成長したように、伝統産業の技術革新や高度化そのものが新たな成長力につながっている。長年蓄積してきた実体経済の基盤が、中国経済の強靱性と成長余地を支えている。

成長の質と効率にも変化がみられる。今年上半期のGDP1単位当たりのエネルギー消費量は前年同期比1.9%減少した。これは単なる数字上の変化ではなく、産業構造の改善や省エネ技術の普及、設備・技術改造への資金支援などが積み重なった結果だ。

エネルギー構成も変化している。上半期には再生可能エネルギーによる発電量の割合が初めて40%を超えた一方、石炭火力発電の割合は初めて50%を下回った。経済規模の拡大と同時に、成長の質を高めようとする構造転換が進んでいることを示している。

こうした変化は省エネや脱炭素分野だけにとどまらない。新たな技術革新と産業変革が進む中、デジタル技術と実体経済の融合によって、新たな産業や業態、ビジネスモデルが生まれ、生産効率の向上や生活の利便性向上につながっている。

巨大な国内市場は新技術を実用化する多様な場を提供し、世界最大規模の製造業基盤は、新技術を生産や生活に応用する受け皿となる。デジタル技術やAIなどが幅広い産業に浸透する中、産業構造やエネルギー構成、製造技術などで変革が進んでいる。

今後の成長力を引き出す上で重要な取り組みの一つとされるのが、「六つのネットワーク(六張網)」の整備だ。「六張網」は複数分野にまたがる大型プロジェクトで構成され、計画策定から事業化、着工までを効率的に進める必要がある。建設そのものが投資や需要を生み、短期的には景気を下支えする効果も期待される。

より長期的には、インフラなどの弱点を補い、経済循環を妨げるボトルネックを解消し、質の高い成長を支える基盤を強化する狙いがある。これによって経済の成長力や生活保障を高め、供給と需要の好循環を生み出すための土台を整える。

さらに大型プロジェクトが進めば、建設や運営、管理に関する制度と、資金、技術、人材、データなどの生産要素が相互に作用する。大型事業を運営するノウハウが蓄積され、投入した資源を成果につなげる効率も高まる。こうした「ソフト面」の能力向上は、産業高度化やイノベーションの余地をさらに広げることになる。

一方、14億人を超える人口を抱える巨大経済には、質の高い成長を実現する上で多くの課題もある。供給が強い一方で需要が弱いという問題への対応、潜在的なリスクの解消、国民生活をめぐる課題への制度的な対応、そして外部からのリスクに直面しても国内の課題に着実に取り組むことが求められている。

中国経済を見る際には、成長率だけでなく、経済規模や構造、成長の原動力をより長い時間軸で捉える必要がある。そうすることで、中国経済が持つ強みや潜在力をより明確に理解することができる。

下半期は、これまでに打ち出された政策を着実に実施するとともに、必要に応じて実効性のある追加政策を検討し、政策当局と企業などの事業主体との連携やフィードバックを強化することが重要となる。こうした政策が着実に実行されれば、中国経済は引き続き合理的な成長範囲を維持し、年間の経済目標達成につながると見込まれている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News