CGVアプリ画面キャプチャ(c)MONEYTODAY
CGVアプリ画面キャプチャ(c)MONEYTODAY

【09月16日 KOREA WAVE】人気映画のチケット完売が相次ぐ韓国の大手シネコンで、車いす利用者向けなど「障害者用観覧席」の空席利用を巡る論争が広がっている。インターネット上などで一般開放を求める声が上がる一方、当事者や専門家からは「そもそも見やすい座席が与えられていない構造的問題を無視している」と反発の声が噴出。文化へのアクセス権確保と効率的な座席運用のあり方を巡り、議論が深まっている。

発端となったのは、ソウル市内のシネコン大手「CGV龍山アイパークモール」のIMAXシアターで起きた現象だ。新作映画の予約が殺到し一般席が全席完売となる中、車いすスペースを含む障害者席6席のみが直前まで空席として残されていた。これを受け、ネット上では「席を遊ばせるくらいなら直前に一般へ開放すべきだ」「回転率を考えれば追加の集客が見込める」といった意見が投稿され、物議を醸した。

これに対し、福祉関係者や市民からは「障害者は移動手段や介助者の確保など諸条件の調整が必要で、事前予約が難しく当日購入に頼らざるを得ない場合も多い」と指摘。「数字上の効率性だけで語るべきではない」「突発的な観覧機会を奪うことになる」といった強い懸念が示された。

さらに議論は、障害者席が置かれた「劣悪な環境」へと波及している。韓国映画振興委員会の調査によると、国内大手シネコンの障害者席(約6000席)のうち、約7割にあたる4182席が見上げる姿勢を強いられる「最前列」に集中していることが判明している。見やすい中央列はわずか4%にとどまり、事実上、一般客が敬遠する席しか割り当てられてこなかった実態が浮き彫りとなった。

障害者権法センター代表のキム・イェウォン弁護士は「見づらい席しか提供しておらず、利用が少ないからといって一般開放を求めるのは筋が通らない。同等の環境で鑑賞できる選択肢を保障することが先決だ」と指摘する。

米国の障害者差別禁止法(ADA)ガイドラインでは、車いす席について全体の視界バランスを考慮した配置基準を定めているほか、空席の一般開放についても「同価格帯・同エリアの一般席が完売した場合にのみ限定的に認める」など細かな運用ルールを設けている。

韓国でも「直前の無条件開放」か「一切の開放禁止」かという両極端な対立を脱し、当事者の文化アクセス権を根幹に据えながら、実態に即した柔軟かつ緻密な運用基準の策定が求められている。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News