動画投稿サイトに掲載された、数百万回再生された「ヤチャルール」の動画=動画投稿サイト画面(c)MONEYTODAY
動画投稿サイトに掲載された、数百万回再生された「ヤチャルール」の動画=動画投稿サイト画面(c)MONEYTODAY

【09月16日 KOREA WAVE】韓国の若者の間で、場所や防具、明確な規則を設けずに素手で殴り合う俗称「夜叉(ヤチャ)ルール」と呼ばれる私的ファイトが広がり、社会問題化している。力関係で優位に立つ者が相手に戦いを強要したうえ、その様子を動画で撮影・拡散する新たな学校内暴力(いじめ)の温床となっており、賭博や恐喝などの二次犯罪へ発展するケースも相次ぐ。死亡事故も発生しており、専門家らは「単なる遊びではなく、重大な暴力犯罪として先制的な指導が必要だ」と警鐘を鳴らしている。

今年5月下旬、韓国中部の忠清北道清州市で「夜叉ルール」による殴り合いを強いられた20代の女性が死亡する事件が発生した。

「夜叉ルール」では、トラブルを避ける名目で事前に「けがや死亡事故が起きても法的責任を問わない」といった趣旨の誓約書を交わすなど、一見すると「当事者間の合意による勝負」の体裁が取られることが多い。

しかし、実態は力関係による一方的な強要であることが少なくない。さらに問題視されているのが、殴り合いの様子を撮影した動画がYouTubeやX(旧ツイッター)などのSNS上で数百万回再生されるなど消費されている点だ。動画をグループチャット等に晒し、「削除してほしければ金を払え」と被害者を脅して金品を要求するなど、恐喝や脅迫の道具として悪用される例も確認されている。

現場の警察官や専門家は危機感を募らせている。ソウル動作警察署の学校担当警察官(SPO)チーム長は「刺激的な喧嘩の動画を日常的に見続けることで、暴力を振るう側が英雄視され、喧嘩が承認欲求を満たす手段になるという歪んだ認識が広がる」とし、「合意があっても、暴力や強要、動画の拡散はいずれも刑事責任を問われ得る」と指摘する。

また、いじめ防止に取り組む「青い木財団」の担当者は、「被害を訴え出た生徒側が『合意したのに文句を言っている』と責められる傾向もある」と構造的な問題を指摘。「『合意があれば問題ない』という誤った認識を正すとともに、暴力行為だけでなく動画の撮影・拡散といったオンライン上の加害行為も含め、先手を打った予防教育が求められている」と訴えている。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News