【三里河中国経済観察】中国が本腰を入れる「資源回収」 背景に資源確保の長期戦略
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【9月17日 CNS】何げなく捨てたペットボトルが、実は上場企業の事業を支えているかもしれない。
かつては「廃品」として扱われていた使用済み資源が、中国で大きな産業へと成長している。中国国家統計局のデータによると、2026年上半期、廃棄資源総合利用業の一定規模以上企業の売上高は5705億元(約13兆471億円)に達し、前年同期比3.2%増加した。利益総額は127億4000万元(約2913億5997万円)で、同104.5%増となった。
中国の41の工業大分類の中でも、同業界の利益の伸び率は2位となり、コンピューター・通信機器や非鉄金属製錬などを上回った。鉄スクラップや古紙、廃プラスチックなどの再生資源市場は、すでに大きな規模に達している。「中国再生資源回収業発展報告(2026)」によると、2025年に中国国内で回収された鉄スクラップ、非鉄金属スクラップ、廃プラスチックなど主要11品目は計4億1700万トン、回収額は1兆3900億元(約31兆7888億円)に達し、前年比3.8%増加した。
このうち鉄スクラップが回収量全体の6割以上を占めた。また、買い替え促進策や再生資源回収制度の整備を背景に、使用済み電池(鉛蓄電池を除く)や廃タイヤ、廃車の回収量も大きく伸びている。
世界的に見ても、中国は再生金属の主要生産国となっている。2025年の世界の再生銅、アルミニウム、鉛、亜鉛の生産量は約5923万5000トンで、このうち中国は2057万トンと34.7%を占め、世界最大だった。
廃プラスチックについても、2021年時点で中国のマテリアルリサイクル量は約1900万トン、リサイクル率は31%に達し、世界平均の約1.74倍だったとされる。
中国政府も、資源循環を今後の重点産業の一つに位置付けている。最近発表された循環経済発展に関する第15次5か年計画では、2030年までに資源循環利用産業の生産額を8兆元に拡大する目標を掲げた。2035年までには循環経済の質の高い発展に向けた体制をおおむね確立し、主要資源の利用効率を国際的な先進水準に引き上げるとしている。
法整備も進めている。2026年8月15日に施行された「中華人民共和国生態環境法典」では、生産者が製品の使用後まで一定の責任を負う「拡大生産者責任制度」の整備や、再生資源の循環利用促進、再生材料の普及、関連する基準・認証制度の整備などを盛り込んだ。
資金面では、超長期特別国債を活用して資源循環分野を支援する取り組みも、設備更新と消費財買い替えを促進する政策の一環として進められている。こうした取り組みの背景にあるのは、環境対策だけではない。中国にとって、重要資源の安定確保やサプライチェーンの強化という側面も大きい。
国際エネルギー機関(IEA)の「Global Critical Minerals Outlook 2024」は、リチウムやニッケル、コバルト、黒鉛、銅、レアアースなどの重要鉱物について、将来的に供給が需要の伸びに追いつかない可能性を指摘している。2035年には、銅の供給量が予想需要の70%、リチウムは50%程度にとどまる可能性があるとしている。
こうした重要鉱物をめぐる供給リスクが高まる中、再生資源の活用は資源の安定確保や産業・サプライチェーンの強靱化につながる手段として重要性を増している。
中国では近年、政策と資本の両面から資源循環産業への投資が進み、中央政府系企業も参入している。2024年には、国務院国有資産監督管理委員会の下で複数の中央企業が出資する「中国資源循環集団」が設立された。資源循環を主要事業とする中央企業で、使用済み電池や廃車、設備・資産、廃プラスチックの再生利用、環境技術などを事業領域としている。
地方政府系企業と民間企業の連携も進む。2025年12月には、再生資源大手の格林美(GEM)が4億元(約91億4788万円)を投じて河南循環集団に戦略出資した。国有企業と民間企業それぞれの強みを生かし、資源循環分野での事業拡大を進める狙いがある。
中国では今後、使用済み製品や廃棄物を単なる「ごみ」ではなく、再び利用できる資源として取り込む動きが一段と広がるとみられる。資源循環産業の拡大は、環境政策にとどまらず、重要資源の確保や産業基盤の強化という面でも重要性を増している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News