ソウル市鍾路区の憲法裁判所に掲げられた旗(c)news1
ソウル市鍾路区の憲法裁判所に掲げられた旗(c)news1

【09月14日 KOREA WAVE】韓国で裁判所の確定判決も憲法裁判所の審判対象とする「裁判憲法訴願」制度が導入されて6カ月が過ぎた。これまでに2154件が申し立てられたが、事前審査を通過して正式審理に回ったのは約1%の20件にとどまっている。

憲法裁判所によると、8月末までに申し立てられた裁判憲法訴願は計2154件で、単純計算では1日10件を超える。

「裁判憲法訴願法」と呼ばれる憲法裁判所法改正案が2月に国会本会議を通過し、裁判所の裁判についても憲法訴願を申し立てられるようになった。改正法は3月12日に施行された。

確定判決が憲法裁判所の決定に反した場合や、憲法・法律で定めた適法な手続きを経ていない場合、憲法・法律に明確に違反して基本権を侵害した場合に、判決確定から30日以内に申し立てることができる。

憲法訴願は裁判官3人で構成する指定裁判部が事前審査し、適法と判断すれば裁判官全員による全員裁判部に回す。9月1日時点で正式審理に進んだのは20件で、2004件は指定裁判部の段階で却下された。

このうち、審理不続行と捜索令状の写しを交付しなかったことをめぐる2件は、10月に弁論が予定されている。

最初に弁論が開かれるのは、製薬会社GC緑十字が申し立てた事件で、10月7日に予定されている。同社は4価HPVワクチン「ガーダシル」の入札談合をめぐり公正取引委員会の制裁を受け、訴訟を起こしたが、ソウル高裁で敗訴。最高裁も本格的な審理をせず上告を棄却したため、裁判を受ける権利や財産権が侵害されたとして憲法訴願を申し立てた。

10月21日には、キム・ヨンス弁護士の事件について弁論が開かれる。キム氏は2022年7月、故イ・イェラム空軍中士の死亡事件を捜査した特別検察官が自宅や事務所を家宅捜索した際、令状の写しを交付しなかったとして裁判所に不服を申し立てた。

裁判所は申し立ての一部を認めたものの、キム氏が被疑者ではないとして令状の写しを受け取る権利を認めなかった。キム氏は平等権やプライバシー、裁判を受ける権利などを侵害されたとして憲法訴願を申し立てた。

制度をめぐっては、憲法裁判所と裁判所の緊張も続いている。チョ・ヒデ(曺喜大)最高裁長官は法改正に反対する立場を示しており、今後の憲法裁判所の判断によって両機関の対立が深まるか、接点を見いだせるかが注目される。

憲法裁判所の憲法研究部長を務めたキム・スンデ弁護士は、国民の権利保障や司法機関の緊張感を保つため制度は必要だとする一方、「制度が乱用されてはならない」と指摘。憲法秩序のために判断が不可欠な事件に絞り、韓国の規模を考慮すれば年間100件未満の判断が適切だとの見方を示した。

憲法裁判所は事件増加に備え、人員と予算も拡充する。定員は現在の364人から2027年に404人へ40人増やし、憲法研究官20人と一般職20人を増員する。

2027年度予算も2026年度の621億ウォンから708億ウォンへ87億ウォン増額される。人件費も354億ウォンから408億ウォンへ約55億ウォン増える予定だ。

人員増加に対応するため、8月からソウル市鍾路区に別館を設置したほか、2030年を目標に庁舎内のテニスコート敷地を活用した増築も進めている。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News