【9月15日 CNS】通信が途絶え、道路が寸断され、停電も発生した。8月26日、ネパール側で発生した土石流災害により、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)シガツェ市(Shigatse)ギロン県のギロン口岸(国境検問所)で多数の死傷者や行方不明者が出た。

翌27日朝には、中国航空集団(中航集団)の最初の緊急救援チャーター便がシガツェ定日空港に到着した。48時間以内に、中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)、中国聯合通信(チャイナ・ユニコム、China Unicom)、中国電信(チャイナテレコム、China Telecom)が国境付近の通信を復旧し、新たな基地局を設置。国家電網も数十台の発電・照明設備を投入して電力確保に当たった。騰訊(テンセント、Tencent)、字節跳動(バイトダンス、ByteDance)、阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)などの企業も資金や物資による支援を開始した。

今回の高原地帯での災害救援では、応急管理部の統一的な指揮の下、中央政府系国有企業による救助活動、政府と社会組織が連携する緊急物資の供給、企業による自主的な寄付が相互に補完し、救助、通信、物資供給を網羅する立体的な緊急支援体制が構築された。

通信は救助活動の「目」となる。中国安能集団の緊急救援先遣隊は、偵察用ドローンや携帯型衛星通信設備、移動式映像通信装置などを携え、上流に形成された天然ダムの状況を調査した。中国電力建設集団(Power Construction Corporation of China)は、中国初のエネルギー事業専用衛星「電建1号」を緊急運用し、災害発生後初となるレーダーリモートセンシング画像を取得した。中国電信は、限られた通信帯域でもデータを効率的に伝送する技術を活用し、1080P(ペタフロップス)の高精細映像をリアルタイムで現場から送信した。

こうした専門設備や技術の投入により、現場の高精細映像をリアルタイムで確認できるようになり、水位や道路状況、人員の分布なども把握しやすくなった。被害状況の分析や、その後の天然ダムへの対応に必要なデータを提供している。

「目」を確保した後は、救援活動の「生命線」となる道路の復旧が必要となる。国道G216号の被災区間は土石流の影響で通行不能となり、救助活動にも大きな支障が出た。

中国中鉄、中国鉄建、中国交通建設集団などの救援隊は、計260台・セット以上の機材を携えて現地入りした。中国石油天然気集団(CNPC)は沿線のガソリンスタンドに緊急車両向けの優先レーンを設け、数百トンの燃料をギロン県へ輸送。中国石油化工(シノペック、SINOPEC)も「移動式給油所」を設置し、現場での救助活動を支えた。

全国規模のインフラ網や専門機材の備蓄、組織的な対応力を持つ中央政府系国有企業は、交通やエネルギーなど重要な分野で役割を担った。国有企業が最前線で困難な救援活動に当たる一方、民間企業も後方から「物資供給網」を築いた。

テンセント公益慈善基金会は、第1弾として2000万元(約4億5714万円)の災害支援資金を拠出し、「救災小時達」プロジェクトを始動。被災地に近い地域で生活必需品を調達し、現地へ輸送した。バイトダンス公益基金会も2000万元を寄付し、緊急物資の輸送を支援するとともに、傘下のプラットフォームに安否不明者を捜す専用ページを設置し、関連する募金プロジェクトを立ち上げた。

その背景には、国家防災減災救災委員会弁公室と応急管理部が中心となって構築した、政府と社会組織による連携体制がある。政府が連携のためのプラットフォームを整え、社会組織が被災地のニーズに応じて支援できるよう、情報共有や調整を進めている。

アリババは数千箱の生活物資を送り、さらに1000万元(約2億2857万円)を寄付。美団は提携企業と連携して医療物資を確保し、いつでも被災地へ輸送できる態勢を整えた。京東物流は複数のトラックを無償で手配して支援物資を輸送し、重機大手の三一集団(SANY Group)は周辺地域の建設機械を確認し、出動に備えた。

不完全な集計ながら、小米科技(シャオミ、Xiaomi)、安踏(Anta)、比亜迪汽車(BYD)、拼多多(Pinduoduo)、網易(NetEase)はそれぞれ1000万元を寄付。乳製品メーカーの伊利(Yili Industrial Group)、EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)などはそれぞれ資金や物資200万元(約4571万4000円)相当を提供した。

中央政府系国有企業が最前線を支え、民間企業がそれに続く。時間との闘いとなる災害救援で、国有企業の専門的な対応力と民間企業の機動力がそれぞれの強みを発揮した。統一的な指揮と政府・社会組織の連携によって支援を調整し、資源のミスマッチを減らしながら、一つ一つの支援を被災地のニーズにつなげている。

それは「人民を第一に、生命を第一に」という理念を行動で示すものでもある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News