大学入試制度の方向性についてグループごとに議論する国民参加委員会の委員ら=国家教育委員会提供(c)news1
大学入試制度の方向性についてグループごとに議論する国民参加委員会の委員ら=国家教育委員会提供(c)news1

【09月10日 KOREA WAVE】韓国の国家教育委員会が将来の大学入試制度改革に向けた議論を進める中、大学修学能力試験(修能)への記述・論述式評価の導入が本格的に検討されている。正解を選ぶ5択式中心の試験から脱し、生徒の思考力や問題解決能力を評価するという方向性には一定の共感がある一方、採点の公平性や導入時期、私教育拡大の可能性など課題も多い。

国家教育委員会は現在策定中の国家教育発展計画で、将来の大学入試制度改革の一つとして、修能への記述・論述式評価導入を検討している。

8月29~30日には京畿道華城市で、全国の生徒や若者、保護者、教育関係者、一般市民ら国民参加委員180人が1泊2日の討論に参加。記述・論述式評価へ移行する場合に必要な条件や、現在の評価制度を維持する場合の改善点などを議論した。

最大の課題は、採点の公平性と信頼性の確保だ。現在の修能は正解が決まった選択式問題が中心で、採点者の主観が入り込む余地はほとんどない。一方、記述・論述式では、同じ意図の回答でも表現や論理展開が異なるため、採点者の判断が影響する可能性がある。

このため、誰が採点しても同様の結果となるよう、具体的で標準化された採点基準の整備が課題となる。複数の採点者が一つの答案を評価したり、採点結果に一定以上の差が出た場合に追加採点したりする方法も検討できるという。採点結果への異議申し立て制度も必要との指摘が出ている。

数十万人分の答案を限られた期間で採点するため、人員や期間、費用をどう確保するかも問題となる。国家教育委員会は代替策として人工知能(AI)による採点を提示。AIが答案を分析したり一次採点したりした後、人が検証することで負担や採点者間のばらつきを減らす方法だ。

ただ、AIが定型化されていない回答や創造的な思考過程を適切に評価できるのか、受験生や保護者がAIの採点を受け入れられるのかといった問題がある。誤りが発生した場合の責任の所在も課題だ。

導入時期や問題の割合も焦点となる。大学入試制度は現在の中高生に直接影響するため、十分な予告期間が必要となる。全科目に一斉導入するのか、一部の科目や問題から始めて拡大するのか、配点をどう設定するのかも決めなければならない。

学校側の準備も欠かせない。修能が記述・論述式に変われば、授業や学校内の評価も対応が求められる。教員の出題・採点能力を高め、学校間の評価能力の格差を縮める必要もある。チャ・ジョンイン国家教育委員長は8月の討論で、将来の大学入試制度改革について「急いで進めない」との考えを示している。

私教育の拡大を懸念する声もある。記述・論述式では思考力や論理力、表現力が重要になる一方、答案の書き方や論理展開、添削を専門に教える塾や家庭教師が増える可能性がある。生徒や保護者が新たな評価方式に不安を感じるほど、私教育への依存が高まる恐れも指摘されている。

国家教育委員会は修能や学校成績への記述・論述式評価導入などを含む将来の大学入試制度改革について意見集約を進めている。10月末には「中長期(2028~2037年)国家教育発展計画」の原案を公表し、大学入試制度改革案も盛り込む予定。最終案は2027年3月に確定する。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News