【9月11日 CNS】最近、農夫山泉(Nongfu Spring)の創業者、鍾睒睒(Zhong Shanshan)氏が中国中央電視台(CCTV)財経チャンネルの番組「対話」に出演し、再びECプラットフォームを厳しく批判した。

番組の中で鍾氏は、ECプラットフォームを「紛れもない特殊な仲介業者」と位置づけ、「至るところに存在し、都市の多くの小売業者を『消滅』させた」と述べ、「プラットフォームの権力を制限しなければならない」と訴えた。この発言は瞬く間に議論を呼び、賛否両論が相次いだ。

鍾氏はいったい何を主張したのか。その主張は、大きく三つにまとめられる。

第一に、プラットフォームは力関係が不均衡な「新たな仲介業者」だという点だ。鍾氏は、プラットフォームが「中間業者をなくす」と掲げて従来の仲介業者を排除した一方、自らがより強い立場の仲介業者になり、ブランド側の状況はそれほど改善していないと指摘する。それどころか、従来の仲介業者を相手にしていた時よりも、ブランド側が価格決定権を維持し、付加価値に見合った価格を確保することが難しくなったという。

第二に、過度な低価格競争が生産力を損なっているという点だ。鍾氏は、中国が今最も懸念すべきなのは、品質や付加価値ではなく、価格ばかりで過当競争を繰り広げることだとし、「これは社会の生産力を最も大きく損なう行為だ」と述べた。コカ・コーラ(Coca-Cola)とペプシ(Pepsi)を例に挙げ、成熟した企業は低価格だけで互いに消耗するような競争はせず、価格だけを競うのは「市場経済が極めて未成熟であることの表れ」だと主張した。

第三に、ECが感性に基づく消費や創造性を失わせているという点だ。鍾氏は「街には、感性で消費する店がどれほどあるだろうか。街を歩いていて服を見つけ、その場で買う。こうした感性的な消費や衝動的な消費が失われてしまった」と述べた。また、若者がスマートフォンの画面に縛られていることを懸念し、「創造性や感性はどこにあるのか」と問いかけた。

なぜ、これほど激しい議論を呼んでいるのか。実際、議論の焦点は、鍾氏がECとその他の商業形態を対立するものとして捉えている点にある。支持する側からは、鍾氏が多くの事業者が言いたくても言えなかったことを代弁したとの声が上がっている。プラットフォームにおける集客機会の配分が不透明であることや、過度な低価格競争によって事業者の利益が限界まで圧迫されていることは、実際に存在する問題だという。

一方、反対意見も厳しい。経済・ビジネス分野の作家、呉暁波(Wu Xiaobo)氏は、鍾氏の主張の10のうち7、8割には賛同するとしながらも、「病気は見えているが、処方箋を間違えている」と指摘した。

また、鍾氏の主張には、自身のビジネス上の立場が反映されているとの見方もある。農夫山泉は数十年にわたり、従来型の多層的な流通システムに依存してきたが、ECの台頭によって、その販売チャネルにおける優位性が崩れたという。ただし、それによって鍾氏の批判がすべて価値を失うわけではない。

この論争の本当の意義は、「鍾氏を支持するか」「プラットフォームを支持するか」という二者択一にはない。中国共産党機関紙・人民日報(People’s Daily)系の評論アカウント「人民鋭評」が指摘したように、「実店舗側に立つにせよ、プラットフォーム側に立つにせよ、消費者側に立たなければ、いずれ支持を失う」。ECプラットフォームがもたらしたプラスの効果を否定することはできない。情報格差を縮小し、消費者がより透明な価格と利便性を享受できるようにしたほか、小規模事業者の商品やサービスが消費者の目に触れやすくなった。

しかし、鍾氏が指摘した問題の一部も現実に存在する。「絶対的な低価格」を追求する戦略は事業者の利益を圧迫し、顧客データを利用して既存客に不利な価格を提示する「ビッグデータによる常連客差別」は消費者の権益を損なう。2026年から施行された「インターネットプラットフォーム価格行為規則」では、プラットフォームが事業者に対し、コストを下回る価格での販売を強制してはならないことが明確に定められている。規制当局が対策に乗り出していることからも、こうした問題がすでに注目されていることが分かる。

ECプラットフォームと実店舗は、決してどちらか一方しか生き残れない対立関係ではない。限られた市場を奪い合って消耗するよりも、集客力による成長から価値創出による成長へ、いかに転換していくかを考える必要がある。プラットフォーム側には、手数料などで利益を得ることばかりを考えるのではなく、事業者の成長を支援する姿勢が求められる。一方、実店舗側も、人ならではの温かみのある体験とデジタルの効率性をどう融合させるかを考える必要がある。

鍾氏の言葉遣いはやや激しく、その立場にも偏りがあるかもしれない。しかし、「プラットフォームの権力をどこまで認めるべきか」という問題を、社会的な議論の中心に押し上げた。デジタル経済と実体経済の融合が深まる現在、どちらを支持するかを争うよりも、いかに共存共栄できるエコシステムを構築するかを議論することの方が、はるかに重要だ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News