秋の気配が訪れたソウル・南山で過ごす外国人観光客=2026年9月3日(c)news1
秋の気配が訪れたソウル・南山で過ごす外国人観光客=2026年9月3日(c)news1

【09月08日 KOREA WAVE】外国人観光客3000万人時代を見据える韓国で、宿泊インフラの拡充が観光産業の重要課題に浮上している。客室総数を増やすだけでなく、ソウルなど首都圏への需要集中を緩和し、宿泊取引の透明性を高める必要があるとの指摘が出ている。

韓国国会で開かれた宿泊政策討論会では、外国人観光客の増加に対応した宿泊施設の供給拡大と取引秩序の改善策が議論された。繁忙期や大型イベント時に繰り返される料金高騰や一方的な予約キャンセルについても、一律に規制するのではなく、取引条件を明確に示して予約への信頼を高めるべきだとの意見が示された。

嘉泉大学観光経営学科のシム・チャンソプ教授は、需要と供給による宿泊料金の上昇自体を「ぼったくり」とみなすべきではないと指摘した。ホテルや航空業界では需要に応じて価格や在庫を調整する収益管理が一般的で、価格を人為的に規制すれば民間による宿泊施設の供給を萎縮させる恐れがあるという。

シム教授は、問題の本質は価格そのものより、予想外の料金変動や一方的な予約キャンセルなど取引の不公正さにあると説明。最終決済価格の明示や予約確定後の一方的なキャンセル防止、キャンセル・返金基準の明確化などを提案し、オンライン旅行会社(OTA)など仲介プラットフォームの責任強化も求めた。

一方、宿泊需要の地域格差も大きな課題だ。韓国文化観光研究院のキム・ヒョンジョン研究員は、多くの外国人観光客が仁川国際空港から入国するため、ソウルなど首都圏に宿泊需要が集中していると分析。地方は土地費用が安くても需要が不透明なため、民間事業者がホテル建設に踏み切りにくいと指摘した。

政府がすべての地域を直接支援するのではなく、民間投資が難しい地域を選び、交通や空港などの基礎インフラを先に整備する必要があるという。短期的には外国人観光客の地方分散を促し、長期的には地方のインフラを拡充する「二本立て」の戦略が提案された。

韓国観光公社も、外国人観光客の地方分散に向け、入国拠点の多様化や関連商品の開発を進めている。同公社は、地方への移動を促すには宿泊施設を増やすだけでなく、交通網と地域独自の観光コンテンツを有機的に結び付ける必要があると強調した。

宿泊業界からは、新規ホテルの建設には長い時間がかかるため、民泊や空き家など既存資源を短期的な供給策として活用すべきだとの意見も出た。韓国ホテル業協会によると、首都圏の一部ではすでに適正稼働率とされる80~85%を超え、客室不足が現実化している。ホテルは事業検討から開業まで通常3~5年、長ければ7年を要するため、税制・金融支援や許認可手続きの簡素化による民間投資の促進が必要だという。

また、民泊やゲストハウス、空き家、ホームステイなどを「予備客室」のネットワークとしてまとめ、大型イベントや繁忙期に制度の枠内で一時的に活用する案も示された。特に2027年の世界青年大会(WYD)など大規模な国際イベントを前に、柔軟な宿泊供給体制の構築が急務とされている。

文化体育観光省は、一部の不当な取引が韓国観光全体のイメージ悪化につながらないよう、価格表示や予約キャンセルなどの取引秩序を整える制度改善を検討するとしている。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News