米アジア政策研究所のナイジェル・コリー客員研究員(c)news1
米アジア政策研究所のナイジェル・コリー客員研究員(c)news1

【09月08日 KOREA WAVE】韓国公正取引委員会がグーグルに巨額の課徴金を科した場合、米政府と議会が「迅速かつ明確に対応する」との見方を、米アジア政策研究所(NBR)のナイジェル・コリー客員研究員が示した。欧州連合(EU)の巨大IT企業規制を通商問題として扱う米国が、韓国に対しても米通商法301条に基づく報復関税などの措置を検討する可能性に注目すべきだとしている。

コリー氏はnews1とのインタビューで、「米韓間のデジタル規制をめぐる対立はここ数年で最も深刻な水準」と指摘。「技術政策の議論から政治問題へ移った」と述べた。

焦点の一つが、公取委が審査しているグーグルのアプリ市場をめぐる「GVP(ゲーム・ベロシティー・プログラム)」問題だ。公取委は、グーグルがゲーム会社との契約を通じて競合するアプリ市場の事業活動を妨げたかを審査している。

公取委事務局は7月、グーグルに公正取引法違反の疑いに関する審査報告書を送付。関連売上高を約14兆1600億ウォン(約1兆5600億円)と算定し、是正命令と課徴金を科す意見を示した。市場支配的地位の乱用に対する法定上限の6%を単純に適用すると、最大約8496億ウォン(約935億円)となる。実際の処分や金額は今後の審査で決まる。

コリー氏は、最大規模の課徴金が科されれば「米国では通常の法執行とは受け止められない」と指摘。課徴金の金額だけでなく、処分の時期や性格、公取委の発表方法も米国の対応を左右するとした。

背景には、韓国当局による米企業への規制をめぐり、米国側で懸念が積み重なっていることがあるという。コリー氏によると、米国は個別の案件ではなく、米企業と韓国企業で異なる結果になっていないか、調査や処分の手続きが公平か、制度そのものが米企業に不利ではないかといった「プロセスとパターン」を見ている。

韓国政府はグーグルやクーパンなどへの措置について、企業の国籍とは無関係に韓国法を適用しているとの立場だ。一方、コリー氏は、韓国の競争法は表面的には中立でも、米国では「事実上、米企業に差別的に適用されている」との懸念があると主張した。

公取委の調査手続きについても問題を提起した。コリー氏は、米企業関係者への聞き取りでは、調査対象や根拠に関する情報へのアクセスが不十分との指摘があったと説明。欧州では企業が事件資料にアクセスできることなどを挙げ、韓国では企業側の防御権を保障する手続きが不足していると主張した。

今後の米国の対応を占う要素として、コリー氏は米通商法301条を挙げた。外国政府の不公正な貿易慣行などを調査し、必要に応じて関税などの措置を取ることができる制度で、米通商代表部(USTR)がEUに対して同条を適用するかどうかが、韓国への対応を見極める材料になるとの見方を示した。

規制をめぐる摩擦が長期化すれば、米IT企業による韓国への投資や新製品投入にも影響する可能性があるという。コリー氏は、規制順守が大きなリスクと判断されれば、次の投資に影響するだけでなく、新たなAI製品の韓国投入を遅らせたり、発売そのものを見送ったりする可能性もあると述べた。

一方で、韓国には制度を改善する余地が残っているとも指摘した。調査内容を十分な時間を置いて通知し、情報や証拠へのアクセス、法的保護を保障するなど、公取委の調査手続きの透明性を高めるよう求めた。

さらに、半導体やAI、クラウド、サイバーセキュリティーなど幅広い分野で米韓が協力できるとして、デジタル政策を事前に協議する常設の窓口を設ける案も提示。「立法予定の案件などについて十分に事前協議できれば、摩擦につながる問題を減らせる」と述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News