【9月11日 東方新報】近年、中国南西部の貴州省(Guizhou)で、洞窟を活用した「洞窟経済」が注目を集めている。世界的なカルスト地形と数多くの鍾乳洞を有する貴州省では、「天然の避暑地」としての魅力を生かし、洞窟探検やカフェなど多様な観光スタイルが広がっている。

貴州省には125万8000もの山があり、カルスト地形が発達していることから、世界有数の洞窟資源を有する。「中国の地底への入り口」と称される双河洞、「中国の鍾乳洞の王」とも呼ばれる織金洞などがその代表だ。

かつての洞窟観光は、洞内の地質景観を眺めることが中心だった。しかし近年では、洞窟や天坑(巨大な陥没地形)、峡谷などを活用した「洞窟カフェ」や「洞窟図書館」がSNSで話題となり、楽しみ方が多様化している。

貴陽市(Guiyang)修文県の洞窟カフェ「山由XIU」は、昨年8月の試験営業開始以来、累計6万人が訪れ、インターネット上での閲覧数は8000万回を超えた。洞内では、水滴や風、コーヒーマシンが豆を挽く音が響き、億年もの歳月をかけて形成された洞壁が独特の空間をつくり出している。さらに近年では、都会の喧騒を離れ、洞窟で非日常的な体験を楽しむ若者も増えている。

貴州省遵義市(Zunyi)綏陽県の双河洞は、確認されている総延長が439.7キロに達し、115か所の洞口がつながる。世界最長の白雲岩洞窟であるとともに、世界最大面積の天青石堆積洞窟としても知られる。安全装備を身に着け、岩壁のワイヤーロープや足場を使って巨大な洞室を進み、はしごや吊り橋を渡る洞窟探検が若者たちの人気を集めている。

一方、貴陽市麦格郷にある石龍洞は、全長約2キロの水洞だ。専門ガイドの案内のもと、パドルボードに乗って地下河川を進むことができる。体験した日本人観光客からは、「他では味わえない、唯一無二の没入体験だった」との声も聞かれた。

「洞窟経済」は、貴州省以外にも広がっている。湖北省(Hubei)鐘祥市(Zhongxiang)の黄仙洞では今年、鍾乳石の模様や形状に合わせて光を変化させるスマート照明制御システムを導入。億年もの歳月が生み出した地質の物語を光で演出し、観光客を楽しませている。

湖北省恩施大峡谷・騰龍洞地質公園では7月、洞窟内で歌や踊り、光のショーを楽しむ「騰龍カーニバルナイト」がスタートした。広大な洞室を舞台に、トゥチャ族の無形文化遺産のパフォーマンスやタンゴ、サンバなどが披露され、洞窟そのものが「地底のエンターテインメント空間」となっている。

洞窟を宿泊施設として活用する動きもある。湖北省恩施市(Enshi)の甲級観光民宿「天機洞穴温泉民宿」は、年間を通じて気温19度前後に保たれる天然洞窟を生かした宿泊施設だ。2023年の開業当初からSNSで話題となり、売上高は2年連続で200万元(約4729万2400円)を突破した。

このほか、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)羅城県では天坑の断崖に書店やホテルを設置。浙江省(Zhejiang)温州市(Wenzhou)では天然洞窟を生かした宿泊施設、河南省(Henan)三門峡市(Sanmenxia)では100年以上の歴史を持つ黄土造りの窯洞を改修した宿泊施設が登場するなど、「洞窟+」の取り組みは各地に広がっている。

観光客は、洞窟の景観を眺めるだけの「観光客」から、地質の秘境を深く楽しむ「参加者」へと変わりつつある。中国の旅行予約サービス「同程旅行」によると、7月31日時点で、同プラットフォームにおける「洞窟」「鍾乳洞」などのキーワードの検索人気度は、前月比で100%以上増加した。今後、「洞窟+」を活用した観光ビジネスは、さらに広がっていきそうだ。(c)東方新報/AFPBB News