【9月9日 CNS】中国で、総延長約2万7000キロに及ぶ巨大な「環状ルート」の整備が進められる。

中国の道路網を見ると、3本の長大な国道がある。西部の国境地帯を縦断するG219、北部の国境地帯を横断するG331、東部の海岸線を結ぶG228だ。この3路線をつなぐと、その総延長は地球の赤道一周の約3分の2に相当する。

中国交通運輸部はこのほど、第15次5か年計画(2026~2030年)期間中に、この3本の主要ルートを全面的につなぎ、国境・沿海地域を結ぶ「黄金大外環(ゴールデン大環状ルート)」を整備する方針を発表した。

この「ゴールデン大環状ルート」の目的は、単に道路を増やすことではない。第14次5か年計画(2021~2025年)期間中、中国の「国家総合立体交通網」は総延長600万キロを超え、「6軸・7回廊・8ルート」からなる主要交通網の整備率は91%に達した。総合交通インフラの規模はすでに世界最大級となっている。交通網の骨格がほぼ整った現在、今後は路線の長さではなく、ネットワークの質や効率を高めることが重視される。

交通運輸部の徐成光(Xu Chengguang)副部長はこのほど国務院新聞弁公室の記者会見で、第15次5か年計画期間中の地域や流域をまたぐ主要交通ルートの整備について、従来のように単純に事業を拡大するのではなく、交通網の配置を最適化し、経済活動を支える大動脈を整備することで、地域間のバランスの取れた発展を促すことが重要になるとの考えを示した。「ゴールデン大環状ルート」は、こうした交通網再編の象徴的なプロジェクトとなる。

では、なぜこの3本の国道が重要なのか。G219国道は北の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)カナスから南の広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)東興市(Dongxing)までを結び、計画総延長は約1万キロに及ぶ。新疆ウイグル自治区、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、雲南省(Yunnan)、広西チワン族自治区の4地域を通り、中国西部の国境地帯を結ぶ主要道路となっている。

G331国道は遼寧省丹東市(Dandong)から新疆ウイグル自治区アルタイ地区までを結び、計画総延長は約9200キロ。遼寧省(Liaoning)、吉林省(Jilin)、黒竜江省(Heilongjiang)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)、甘粛省(Gansu)、新疆ウイグル自治区の6地域を通り、東北平原や内モンゴル草原、大興安嶺、長白山などの景勝地を結ぶことから、「最も美しい国境道路」とも呼ばれている。

G228国道は遼寧省丹東市(Dandong)から広西チワン族自治区東興市までを結び、計画総延長は約7400キロ。遼寧省、河北省(Hebei)、天津市(Tianjin)など10地域を通る。中国東部の主要な沿海都市や港湾を結ぶ、経済活動の活発なルートだ。

3本の道路はそれぞれ、国境地域の交通確保、観光との連携、沿海地域の対外開放という異なる役割を担う。これらを一つの環状ネットワークとして結び、相乗効果を生み出すことが「ゴールデン大環状ルート」の狙いだ。

今後5年間では、未整備区間の整備や既存道路の機能向上を進め、約7400キロを新設・改修する計画だ。沿線の自然や観光資源を生かしたドライブ観光ルートの整備も進め、単に「通れる道路」ではなく、移動そのものを楽しめるルートを目指す。

交通運輸部によると、国家総合立体交通網の主要ネットワークの整備率は、現在の91%から2030年には95%に引き上げられる見通しだ。「ゴールデン大環状ルート」が完成すれば、長江の水運ルートや四川―チベット鉄道、新疆―チベット鉄道などとも連携し、「外周ルート+内陸水運+南北幹線」からなる交通ネットワークを形成する。国家総合立体交通網を構成する重要な一部にもなる。

道路がつながることで、沿線地域にも変化が期待されている。G331の吉林省区間はすでに全線が開通しており、「ゴールデン大環状ルート」の先行事例となっている。この国境道路は12か所の国家森林公園や8か所の国家級自然保護区などを結び、国境地域のドライブ旅行や自然観光のルートとして利用されている。

旅行者にとって「ゴールデン大環状ルート」は、中国各地の自然や文化を巡る長距離ドライブコースとなる。沿線住民にとっては、地域の農産物や特産品を輸送しやすくなり、公共サービスへのアクセス改善も期待される。国全体では、多数の国境検問所や沿海港湾を効率的に結び、国境地域の交通基盤を強化するとともに、国内外の物流や経済活動を支える役割が期待されている。

中国の交通インフラ整備は、道路を広げる段階から、既存ネットワークの配置や機能を最適化する段階へ移りつつある。「ゴールデン大環状ルート」は、こうした変化を象徴するプロジェクトであり、中国の地域経済や物流のあり方にも影響を与えることになりそうだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News