韓国流通大手、オンライン拡大でも実店舗に投資…「買う場所」から「過ごす場所」へ
このニュースをシェア
【09月05日 KOREA WAVE】オンラインショッピング市場が急速に拡大する中、韓国の百貨店や大型スーパーなどの流通各社が実店舗への投資を続けている。価格や利便性でオンラインと競うのではなく、飲食や文化、体験型コンテンツを組み合わせ、実店舗ならではの「体験」を強化する戦略だ。
韓国国家データ処によると、2026年5月のオンラインショッピング取引額は25兆130億ウォンで、前年同月比10.3%増加した。モバイルショッピングも19兆2890億ウォンと9.7%増えた。6月もオンライン取引額は24兆ウォンを超え、前年同月比10.7%増加した。
大型スーパーは、生鮮食品などを直接確認できる強みを維持しながら、飲食や専門店、文化・体験施設を拡充している。ロッテマート松坡店は2024年8月、約700坪の常設美術展示場を導入。最初の1カ月で店舗全体の売り上げは前年同期比約10%、客数は約5%増え、累計来場者は4万5000人を超えた。
ロッテマート水原店ではキッズカフェとファミリーレストランからなる約600坪のファミリーテーマパークを運営し、2025年のテナント部門の売り上げが前年比12%増加した。三山店でもゲーム施設の導入後1年間で、テナント売り上げが改装前の同期間より約1.5%増えた。
イーマートは既存店舗を買い物と外食、文化、休息を一度に楽しめる「スターフィールド・マーケット」へ転換している。2025年に改装した一山、東灘、慶山の各店では、2026年4~6月期の平均売上高が前年同期比79.5%、平均客数が42.4%増加。3時間以上6時間未満滞在した長時間利用客も86.2%増えた。
百貨店各社も飲食やポップアップストア、文化コンテンツを強化している。ロッテ百貨店は2026年上半期だけで約450件のポップアップストアを展開した。5月に本店で開いたイベントには10日間で約1万4000人が訪れ、期間中の飲食部門の売り上げは前年同期比30%増、韓国ファッション部門は2倍以上となった。
新世界百貨店は江南店に約6000坪の食品売り場を整備するなど、店舗を訪れる目的となるコンテンツを強化している。同社によると、食品を購入した客の50%がほかの商品分野も購入しており、飲食をきっかけにファッションや高級品などの消費につなげる戦略だ。
現代百貨店は既存店の改装と新規出店を並行して進め、2028年までに「ザ・現代光州」「ザ・現代釜山」などの開業を進めるほか、慶尚北道慶山市にはプレミアムアウトレットの出店を計画している。
一方、実店舗だけに投資を集中しているわけではない。現代百貨店は6月、既存のオンラインモールを統合した「ザ・現代ハイ」を開設した。今後はオンラインと実店舗の顧客データを統合し、独自の人工知能(AI)ショッピングアシスタントなどを活用した個人向けの提案も強化する計画だ。
流通業界では、オンラインは価格比較や配送などの利便性、実店舗は商品を直接確認し、新しいブランドを発見したり、買い物や外食、文化、休息を一つの空間で楽しんだりできる「体験」という形で、役割の分化が進んでいる。
業界関係者は「オンラインで商品を素早く便利に購入する消費が増えるほど、実店舗では商品そのものだけでなく、顧客が直接体験できるコンテンツや空間の価値が重要になる。店舗ごとの商圏や顧客特性に合わせたコンテンツで、滞在時間と消費をともに増やす競争も続くだろう」と話した。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News