【09月05日 KOREA WAVE】
北朝鮮メディアが紹介した平壌の新市街地の夜景=労働新聞(c)news1
北朝鮮メディアが紹介した平壌の新市街地の夜景=労働新聞(c)news1

北朝鮮の首都・平壌ではエアコンの普及が進み、スマートフォンを使った電子決済や買い物、宅配サービスも広がる一方、農村や地方では電気が1日1時間程度しか供給されない地域もあるなど、生活環境に大きな地域格差があることが分かった。

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は2024年から「地方発展20×10政策」を推進し、地方の近代化を進めている。しかし、住民が利用できる電力や交通、教育、産業基盤には依然として居住地域による大きな差がある。

米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」は最近、平壌と黄海南道・海州、両江道・金亨稷郡の生活環境を電力、通信、交通、教育、産業の5分野で比較した。商業衛星写真や北朝鮮メディアの報道、脱北者の証言などを基に分析した。

特に大きな差が確認されたのは電力供給だった。北朝鮮は需要を満たすだけの電力を生産できず、軍需・産業施設への供給を優先している。脱北者によると、工場や公共機関でも必要な電力を十分に受けられない場合があり、多くの家庭が小型太陽光パネルで蓄電池を充電しているという。

平壌では新型コロナウイルス流行前まで、一定時間だけ電力を供給する計画停電が続いていた。しかし最近、平壌を訪れた人から停電を目撃したとの話は出ていないという。北朝鮮メディアでは華やかな夜景が頻繁に登場し、電力消費量の多いエアコンも市内で増えていることから、38ノースは電力事情が改善した可能性があると分析した。

一方、金亨稷郡では送電線がほとんど確認できず、鴨緑江に近いにもかかわらず、それを利用した発電施設もないとされる。一部の脱北者は、農村では過去に1日1時間、あるいはそれ以下しか電気が供給されなかったと証言している。

通信分野の格差は比較的小さい。北朝鮮の携帯電話回線は約600万~700万と推定され、国際電気通信連合(ITU)は人口の約94%が携帯通信網の範囲内にいるとみている。

住民は携帯電話で通話やビデオ通話、メッセージを利用し、国内イントラネットにも接続できる。電子決済サービスは2022年ごろ平壌を中心に始まり、2024年から地方へ拡大。首都に限られていたスマートフォンによる買い物や宅配サービスも、最近は他の主要都市へ広がった。

交通環境にも大きな差がある。平壌では地下鉄2路線、路面電車4路線、トロリーバス11路線が運行されている。海州にも市街地を少なくとも7キロにわたって走るバス路線がある一方、金亨稷郡などの農村では徒歩や自転車が主な移動手段とみられる。

教育課程は全国共通だが、学校の設備にも格差がある。38ノースが引用した2022年の報道によると、平壌と海州の小学校ではコンピューター保有率が約63%だったのに対し、その他の地域では約6%にとどまった。

農村では実機を使わず筆記試験で代用したり、1台のコンピューターを複数の児童が囲んで授業を受けたりするケースもあるという。

北朝鮮は地方発展政策に基づき、毎年20の市・郡に食品や衣類、日用品などの工場を建設している。38ノースはこれまで年間の事業目標を達成していると評価する一方、原材料を地域内で調達する方針が、基盤の弱い地方に大きな費用と物流面の負担を与えていると指摘した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News