【9月9日 CNS】1日平均17億個の半導体チップを生産――。

これはSFの世界ではなく、2026年7月の中国国内の工場における実際の生産状況だ。中国国家統計局が発表した7月の一定規模以上の工業企業における主要製品生産量によると、同月の集積回路(IC)生産量は530億個で、前年同月比20.7%増加した。1日平均に換算すると約17億個となる。1~7月の累計生産量は3342億個に達し、その規模はすでに大多数の国の年間生産量を上回っている。

これほど大きな生産能力は、どこから生まれているのか。その答えは、最新の経済データに表れている。8月17日、国家統計局は1~7月の全国固定資産投資に関するデータを発表した。全国の固定資産投資(農家を除く)は前年同期比6.7%減少した。

全体の数字を見れば投資には下押し圧力があるものの、分野別に見ると、その動きには鮮明な違いがある。特に目立つのが、電子情報や半導体関連の産業チェーンだ。1~7月の電子回路製造業への投資は前年同期比57.7%増、電子専用材料製造業は9.4%増、集積回路製造業は11.5%増となった。

その背景には明確な需要がある。AI大規模モデルから新エネルギー車、さまざまなスマート端末に至るまで、現代の産業は半導体への依存を強めている。川下分野で幅広い需要が拡大することで、産業チェーン全体の増産が進み、新たな成長分野に資金が流れ込んでいる。

投資拡大はハードウエア分野だけにとどまらない。1~7月の情報サービス業への投資は19.2%増、インターネット・関連サービス業は41.3%増となった。データセンター、ソフトウエア開発、ネットワークインフラなど、AIの実用化に欠かせないデジタル基盤にも大量の資金が投入されている。

新たな成長の波は、集積回路やAIだけに限らない。1~7月には、リチウムイオン電池製造業への投資が23%増、航空・宇宙機器製造業が12.3%増となるなど、新興産業が相次いで新たな成長の担い手となっている。

さらに、見過ごされがちなデータからは、より大きな構造変化も見えてくる。1~7月の知的財産関連への投資は9.1%増加し、投資全体に占める割合も前年同期から2.1ポイント上昇した。設備・器具の購入への投資も9%増え、投資全体の伸びを1.5ポイント押し上げた。

これまで「投資」といえば、建物を建て、道路を整備し、工場を新設するといった、鉄やコンクリートを中心とする従来型の実物投資がまずイメージされてきた。しかし現在、その構造は大きく変わりつつある。設備の導入や研究開発、知的財産の蓄積など、こうした分野への投資の重要性が高まっている。

国家統計局の報道官、付凌暉(Fu Linghui)氏は「現在の投資は将来の生産を決定するとともに、今後の産業配置や経済効率にも関係する」と指摘する。中国は現在、新旧の成長エンジンの転換が加速する過程にあり、資金は先進製造業、デジタル経済、グリーン・低炭素分野などに急速に集まり、企業の投資の重点も研究開発や設計などのイノベーション分野へと移りつつある。

1日17億個という半導体チップの生産量は、単なる一つの数字ではなく、産業構造の転換を示す具体的な事例といえる。科学技術イノベーションと先進製造業へ流れ込む資金が、中国経済の新旧成長エンジンの転換を加速させている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News