長江でドローン配送 船舶の補給を支援
このニュースをシェア
【9月7日 東方新報】「私たちは長期間船上で生活しているので、米や小麦粉、食用油、医薬品、船舶用部品などは欠かせません。以前は自分で上陸して買い物をしており、往復の交通費だけで100元(約2366円)以上かかっていました」。1990年代生まれの船員、黄陽(Huang Yang)さんはこう話す。
今では船上からスマートフォンで注文すると、十数分後には安徽省(Anhui)蕪湖市(Wuhu)弋江区の東匯ドローン配送サービス基地からドローンが飛び立ち、貨物船の甲板に正確に着陸する。
このドローン配送ルートが開設される以前、こうした買い物には午後いっぱいを費やしていた。長江(揚子江、Yangtze River)の安徽省蕪湖区間では、毎日約2000隻の船舶が行き交い、乗船する船員は延べ約2万人に上る。1990年代生まれの帰国華僑青年で、安徽東匯儲運股份有限公司の総経理を務める汪国罕(Wang Guohan)氏は海運業を営む家庭に生まれ、海運産業の仕組みから海運会社、物流・倉庫まで業界の各分野に精通している。
「川の上は気温の変化が激しいうえ、船内は閉鎖的な環境です。船員から風邪や発熱、嘔吐や下痢などの症状があると聞くこともありますが、それでも1、2日航行を続け、荷降ろしのための停泊地に着いてから対処するしかありませんでした。薬を買うためだけに船を止めれば半日以上かかります。船の運航は時間との勝負で、荷降ろしが1日遅れるだけでもコストが発生します」と汪氏は話す。
2012年、汪氏はカナダの大学を卒業後、故郷の蕪湖に戻って起業した。その中で、航行中の船にも多くの買い物需要があることに気付いた。「陸上ではフードデリバリーや宅配便がすでに日常になっていますが、船員にとってはぜいたくともいえるサービスでした」と話す。
「2024年度安徽省低空空域航路設定計画」が承認されたことをきっかけに、汪氏は「ドローン配送なら船員の生活物資の補給問題を解決できるのではないか」と考えた。
2025年4月17日、同基地は長江を航行中の船舶にドローンで物資を届ける、中国初の「運航を止めない配送」に成功した。「最初に届けたのは基本的な生活物資と、蕪湖名物の紅皮鴨(皮を香ばしく焼き上げた、中国の鴨料理)でした」と汪氏は振り返る。
「船員から注文が入ると、私たちが近くの店に商品を買いに行きます。ビデオ通話をつないで、その場で値段交渉をすることもできます」。安徽東匯儲運股份有限公司で目視外飛行の操作を担当する謝発亮(Xie Faliang)氏はこう話す。
1件当たりの配送時間は8~20分ほどで、注文は昼の時間帯に集中する。「現在、月間の飛行回数は約220回です」という。「航行中の船への配送で最も難しいのは、正確に荷物を届けることです。貨物船は川を航行しているため、風速や通信状況だけでなく、甲板上のポールや防水シートなども障害になります」と汪氏は説明する。
チームはまず港湾地区で台車を使って船の動きを再現し、ドローン操縦者による配送の成功率が100%に達してから、正式な運用を開始した。2025年度には1548件の配送を行い、総積載重量は6.4トン、総飛行距離は1801キロに達し、約2000隻の船舶にサービスを提供した。船員にとって、薬の購入や宅配便の受け取り、食事の注文にも新たな選択肢が生まれた。黄さんは「今では、紅皮鴨、麻辣燙(マーラータン)、それに赤豆酒醸(あずき入り甘酒デザート)を2杯。この三つが蕪湖を通る時の私たちの『定番セット』になっています」と話した。(c)東方新報/AFPBB News