【9月7日 CNS】中国の都市経済の魅力は、思いもよらない場所から新たな成長の波が生まれるところにある。

2026年上半期、山東省(Shandong)経済の最大の「サプライズ」は、青島市(Qingdao)でも済南市(Jinan)でも、さらには煙台市(Yantai)でもなく、普段あまり注目されることのない沿海部の「小都市」だった。

日照市(Rizhao)統計局が発表したデータによると、2026年上半期の日照市の域内総生産(GDP)は1397億800万元(約3兆3056億円)に達し、前年同期比6.4%増となった。主要指標は全国および山東省の水準を上回り、GDP成長率は省内トップとなった。

有力都市がひしめく山東省で、かつて経済発展で後れを取っていたこの沿海都市は、なぜ突然成長を加速させたのだろうか。長い間、日照市は山東省の経済地図の中で、やや難しい立場に置かれてきた。一方では青島市に人材や資源を吸収され、もう一方では臨沂市(Linyi)の強力な物流産業に押されてきた。「日の出の最初の光が照らす」ことに由来する名を持ち、美しい海岸線に恵まれながらも、長年「沿海部の発展が遅れた都市」とみられてきた。しかし、その転機は産業構造そのものの転換にあった。

「新質生産力」が各地の発展における重点となる中、日照市は単に新しい概念を掲げるのではなく、着実な道を選んだ。伝統産業を根本から改革し、そこから新たな成長力を生み出すという方法だ。

日照市の2026年上半期の経済実績を見ると、成長を力強く支えているのが工業だ。鉄鋼、自動車、設備製造などの基幹産業がそろって伸び、一定規模以上の工業企業の付加価値額は前年同期比7.7%増となり、全国を2.3ポイント、山東省を0.7ポイント上回った。特に自動車製造業は27.9%増、設備製造業も22.3%増と高い伸びを示した。

この工業分野の成長を読み解くキーワードは、「グリーン化による質の向上」と「イノベーションによる成長力の強化」の二つだ。鉄鋼産業は日照市の工業を支える柱であると同時に、グリーン転換の中心でもある。

国と山東省が重点的に整備する先進鉄鋼製造拠点として、日照市の粗鋼生産能力は現在、約3000万トンに達しており、山東省の鉄鋼産業の構造転換と高度化を担う中核地域となっている。「生産を増やしても汚染を増やさず、炭素排出量を減らしながら効率を高める」という目標は、もはや単なるスローガンではなく、実際の経済効果につながっている。

山東鋼鉄集団日照有限公司と日照鋼鉄集団の2社を中核企業として、スクラップ加工企業と連携し、鉄鋼関連産業パークでは2020年以降、累計1800万トンを超える鉄スクラップを再利用してきた。これにより鉄鉱石から製鉄する際に生じる大量の炭素排出を削減した。数千万トン規模の鉄鉱石の採掘を抑えたことに相当し、炭素排出量の削減だけでなく、サプライチェーンの強靱化にもつながっている。

一方、イノベーションへの取り組みは、既存企業に新たな成長の芽をもたらしている。上半期には、汎用(はんよう)設備製造業の付加価値額が43.6%増、専用設備製造業が38.3%増、コンピューター・通信・その他電子設備製造業が19.3%増となった。こうした数字からも、日照市の工業高度化の勢いがうかがえる。

サービス業の成長も見逃せない。上半期の第三次産業の付加価値額は前年同期比8.0%増と、第一次、第二次、第三次産業の中で最も高い伸びを示した。1~5月には、一定規模以上のサービス企業の売上高が8.5%増、重点業種では13.7%増となった。

より長期的な視点で見ると、日照市の成長は山東省にとって、一都市の躍進以上の意味を持っている。山東省の経済成長は長年、膠東半島の青島市、煙台市、そして省都の済南市などの主要都市に大きく支えられてきた。日照市の6.4%という成長率は山東省平均を0.8ポイント上回った。これは単なる数字上の首位ではなく、山東省の中堅都市が成長力を高めていることを示している。山東経済の底力を支える存在が、大都市だけでなく、より多くの中堅都市へと広がりつつある。

「一帯一路(Belt and Road)」の新ユーラシア・ランドブリッジ経済回廊における主要拠点都市の一つである日照市にとって、日照港の貨物取扱量は地域経済の状況を映す「温度計」ともいえる。

上半期、日照市は国内産業だけでなく、対外経済でも大きく伸びた。輸出入総額は700億6000万元(約1兆6576億円)に達し、前年同期比13.3%増となった。6月単月では134億元と同40.3%増となり、輸出、輸入ともに伸び率が40%を超えた。

日照市の輸出入の大幅な伸びは、中国の対外貿易の活発さを示す一例でもある。今年1~7月の中国の貨物輸出入総額は30兆1264億元(約712兆8207億円)で、前年同期比17.3%増となった。このうち輸出は17兆4400億元(約412兆6478億円)で14.0%増、輸入は12兆6864億元(約300兆1729億円)で22.0%増だった。

深水港という強みを生かし、日照市では鋼材輸出やコモディティーの輸入が活発に行われている。「最も若い年間取扱量5億トン級の港」とされる日照港が周辺地域にもたらす経済効果は、着実にGDPの押し上げへとつながっている。

市制施行から40年に満たない若い都市、日照市にとって、2026年夏の経済実績は大きな飛躍といえる。青島市や済南市のような大都市と比べれば経済規模は小さいものの、その分、日照市の急成長は身軽さを生かした躍進ともいえる。

山東省の発展には、「大きく強い」主要都市によるけん引だけでなく、「小さくても特色ある」都市の躍進も重要であることを、日照市は示している。これまで目立たなかった都市が一気に存在感を高める。日照市の躍進は、山東省が進めてきた新旧成長エンジンの転換が成果を上げつつあることを示す一例となっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News