【9月8日 CNS】近年、中国ではデジタル製品からアウトドア用品、漢服やドレス、ベビー・子ども用品まで、「買わずに借りる」消費スタイルが広がっている。商品を購入して所有するのではなく、レンタルによって必要な期間だけ利用するこのスタイルは、一部の人が試す新しい消費方法から、延べ数億人が利用する身近な選択肢へと変わりつつある。

中国国家市場監督管理総局発展研究センターが発表した「循環経済を背景とした消費者向けレンタル業界の健全な発展に関する白書」によると、2024年の中国のレンタル経済の取引規模は4兆2000億元(約99兆8768億円)を突破し、前年比32%増加した。利用者は延べ7億5000万人を超え、このうち30歳未満が6割以上を占めた。

「所有することより、使うことを楽しむ」という考え方が、中国の若者の間で重要な消費スタイルになりつつある。中国青年報(China Youth Daily)傘下の中国青年報社社会調査センターは、アンケートサイト「問巻網(Wenjuan.com)」が共同で実施した調査によると、回答した若者の77.3%が「買わずに借りる」消費を経験しており、「2000年代生まれ」では82.2%に達した。

最も多くレンタルされているのはデジタル機器(42.5%)とアウトドア用品(38.9%)で、文化関連用品や工具、衣類、生活用品などにも広がっている。

山東省(Shangdong)青島市(Qingdao)に住むZ世代の張釗(Zhang Zhao)さんは、普段は仕事が忙しく旅行する機会は多くないが、旅行に出かけた際には「写真映えする写真を撮りたい」という。ドローンならきれいな写真を撮影できるものの、価格は数千元(数万円)から1万元(約23万7802円)以上するものもあり、使用頻度も高くないため、購入しても使わなくなることを心配していた。

「レンタルならちょうどよく、最新モデルも借りられます」と張さんは話す。また、大切な行事に出席するため、気に入ったブランドバッグを借りたこともある。販売価格が1万元以上するバッグを、3日間300元(約7134円)余りで利用できたという。

この消費スタイルのもう一つの特徴が「低炭素」だ。データによると、スマートフォン1台を4回レンタルして再利用した場合、年間の二酸化炭素排出量を約100キロ削減でき、これは木を5本植えることに相当するという。

また、中国の業界プラットフォームの試算によると、大規模な循環型レンタルによって、これまでに3000万回を超える機器の再利用が実現し、約8万トンの電子廃棄物削減につながった。

中国社会科学院社会学研究所の朱迪(Zhu Di)研究員は、レンタル消費とは本質的に商品の所有権と使用権を切り離すことであり、消費者の負担を軽減すると同時に資源の利用効率を高めることができ、循環型経済を実現する重要な取り組みだと指摘する。

さらに、これまで個人所有が一般的だった日用品にもレンタルが広がっている。陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)に住む1995年以降生まれの韓璐(Han Lu)さんは、3年前から子どものおもちゃをレンタルしている。「最近はブランド物のおもちゃも高価です。子どもの成長に合わせて年齢に適したおもちゃを頻繁に替える必要があり、すべて購入するとかなりの費用がかかります。レンタルならコストパフォーマンスが高く、種類も豊富です」と話す。

専門家は、「買わずに借りる」消費が人気を集める背景には、若者の消費意識の変化があると分析する。曁南大学経済・社会研究院の劉詩濛(Liu Shimeng)副教授は、現在の中国の若者は「買えないから借りる」といった従来の価値観にとらわれず、高級品をレンタルすることを見栄とも考えていないと指摘する。消費行動はより合理的になり、購入することで実際にどれだけの価値が得られるかを意識的に判断するようになっている。消費の考え方も「所有する」ことから「利用する」ことへと変化しているという。

北京工商大学(Beijing Technology and Business University)経済学院の洪涛(Hong Tao)教授は、「『買わずに借りる』消費の人気は、若い消費者がコストパフォーマンスと実際の体験をますます重視し、所有することから体験を楽しむことへと意識を変えていることを示している」と指摘する。

スマートフォンもカメラも借り物かもしれない。しかし、そこで撮影した写真や残された思い出は、完全に自分自身のものだ。モノが豊富になった現在、「買わずに借りる」という選択は、社会にある資源を循環させることで新たな価値を生み、環境に配慮した消費を後押ししている。同時に、中国の消費市場の底堅さと潜在力を読み解く新たな視点にもなっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News