中国、ロケット海陸回収に成功 商業宇宙開発が新段階へ
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【9月4日 CNS】中国の民間宇宙企業、藍箭航天(LandSpace)が開発した「朱雀3号遥2(Zhuque-3)」ロケットは8月19日に軌道投入ミッションを終えた後、第1段機体が高空から帰還し、甘粛省(Gansu)民勤県の回収場に垂直着陸した。中国が陸上でロケットの制御回収に成功したのは初めて。
その40日前の7月10日には、中国運載火箭技術研究院が開発した「長征10号乙(CZ-10B)」が海南商業宇宙発射場で別方式の回収に成功した。第1段機体が海上の回収区域に入った後、回収プラットフォームに設置されたネット式捕獲装置で機体を受け止め、海上でのネット式回収を実現した。
陸上と海上という二つの回収方式は、単に回収場所が異なるだけではなく、それぞれ異なる技術体系に基づいている。全く異なる二つのエンジニアリングシステムで技術的な突破を実現したことは、中国が本格的な再使用型ロケットの時代に入ったことを示している。
長征10号乙は、世界でも独自の海上ネット式回収方式を採用した。米国のロケットが重量のある着陸脚を搭載して降下する方式とは異なり、ネットで機体を捕獲することで複雑で重量のある着陸機構を省くことができる。これにより機体重量を軽減し、その分を衛星などのペイロードに振り向け、打ち上げ効率を高めることが可能になる。
海上では風や波によって回収の難易度が高まる一方、中国には海洋エンジニアリングや造船、追跡・管制などの技術基盤があるほか、海南の発射場は低緯度に位置し、海上輸送にも便利という地理的な利点がある。今回、新たな技術方式による回収に成功したことで、高精度の誘導・制御技術と複数システムの連携能力が実証された。また、長征10号乙は第1段に比較的成熟した液体酸素・ケロシンエンジン、第2段に新開発の液体酸素・メタンエンジンを採用し、再使用時の低軌道への打ち上げ能力は16トンに達する。
一方、朱雀3号の陸上回収成功は、中国の民間ロケット回収技術が実証試験の段階から、実用的な再使用に向けた段階へ移行したことを示す。今回のミッションでは、ロケットの推進系や安全制御システム、熱防護構造などに複数の改良を施し、飛行の信頼性を大幅に向上させた。
朱雀3号は液体酸素・メタンを推進剤とし、20回以上の再使用を想定して設計されている。商業打ち上げ1回当たりの価格は1億5000万元(約35億6326万円)で、低軌道衛星を大量かつ高頻度で打ち上げる衛星コンステレーションの構築にも対応できる。計画では、今回回収した機体を半年以内に再び飛行させる試験を行い、「打ち上げ―回収―点検―再使用」という一連のサイクル確立を目指す。朱雀3号は低コスト、回収可能、迅速な改良を重視し、商業利用を前提とした再使用路線を進めている。
二つの技術方式の進展は、ロケットを1回の打ち上げで使い切るという従来の課題を克服するものとなる。近年、中国では商業宇宙産業が急速に発展し、商業打ち上げの回数や軌道投入される衛星数が増え続けている。多数の衛星によるコンステレーション構築も予定されており、打ち上げ能力の拡大が急務となっている。再使用型ロケット技術が成熟すれば、衛星数に対してロケットの輸送能力が不足する状況を緩和し、宇宙への打ち上げを一度限りのプロジェクトから、日常的で低コストな宇宙輸送サービスへと転換できる可能性がある。
中国における再使用型ロケット技術の進展は、世界の商業宇宙市場の競争構図にも影響を与えそうだ。これまで大きな輸送能力を持つ再使用型ロケットでは米国企業が先行し、スペースX(SpaceX)は着陸脚を使った垂直着陸方式によって、世界の低コスト商業打ち上げ市場で大きな存在感を示してきた。
これに対し中国は、自国の産業基盤や地理的条件を生かし、独自の回収方式の開発を進めている。今後、価格競争力を持つ中国の打ち上げサービスが、海外の顧客に新たな選択肢を提供する可能性もある。現在、アジアや中南米、中東、欧州の複数の宇宙関連企業が中国の商業宇宙企業と協力する意向を示しており、提携先を多様化することで単一のサプライチェーンに依存するリスクを抑えながら、低コストでの衛星コンステレーション構築を目指している。
今後、回収・再使用技術のさらなる成熟と大規模な商業運用が進めば、中国は技術、コスト、サプライチェーン、サービスなど多方面から世界市場への参入を深め、世界の商業宇宙開発の構図にも変化をもたらすとみられる。(c)CNS/JCM/AFPBB News