イスラエル右派騒然、極右与党が別の極右与党との共闘拒否
このニュースをシェア
【8月29日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる右派与党「リクード」は28日、10月の総選挙に極右政党「宗教シオニズム」と統一名簿方式で臨むのを拒否した極右政党「ユダヤの力」を率いるイタマル・ベングビール国家治安相を痛烈に批判し、票が割れれば右派が敗北する恐れがあると警告した。
ベングビール氏は最近、イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区で毎晩パレスチナ人を「30~40人」殺害すべきだと主張し、国際的な非難を浴びたばかり。
「ユダヤの力」を率いるベングビール氏は、ベツァレル・スモトリッチ財務相率いる「宗教シオニズム」との共闘をネタニヤフ首相から要請されたが、拒絶した。
「リクード」はX(旧ツイッター)の公式アカウントに「ベングビール氏は何を望んでいるのか? ネタニヤフ首相が率いる広範な挙国一致政権か……それとも私情で右派の票を無駄にし、左派政権を誕生させることなのか?」と投稿した。
ネタニヤフ氏による極右政党同士の共闘呼び掛けは、退役准将オフェル・ウィンテル氏が立ち上げた新たな極右政党「イスラエルの民(アムハ・イスラエル)」が世論調査で急激に支持を伸ばしているのを受けたものだ。
アナリストらによると、台頭する「イスラエルの民」は「宗教シオニズム」の票を奪う可能性がある。
イスラエルの総選挙は全国1区の比例代表制で、議席を得るためには得票率3.25%が必要だが、「宗教シオニズム」は他党と統一名簿方式で臨まない限り、3.25%以上を得票できず、議席を失う可能性がある。
ウィンテル氏も宗教右派だが、ユダヤ教超正統派の男性に兵役免除を認め、同派に依存する右派連立政権を声高に批判している。
ネタニヤフ氏は27日夜にXへ投稿した動画で、スモトリッチ氏とベングビール氏は「団結しなければならない。われわれが団結して選挙に臨んだ時は毎回勝利し、ばらばらに臨んだ時は敗北してきた」と主張。
「1992年、右派は今日のように左派よりも多くの票を得ていたが、ばらばらに選挙に臨んだためにオスロの惨劇(1993年のオスロ合意)、アラファト(PLOのヤセル・アラファト議長)、(イスラム組織)ハマスと相次ぐ大惨事を招いた」と付け加えた。
スモトリッチ氏は27日のX投稿で、ネタニヤフ氏の呼び掛けに前向きな姿勢を見せた。
ネタニヤフ氏は28日朝のX投稿で、ベングビール氏とスモトリッチ氏を30日の会談に招待し、「1票たりとも無駄にしてはならない。右派ブロックを救うために一致団結しなければならない!」と呼び掛けた。
だが、ベングビール氏はネタニヤフ氏が「ユダヤの力」を弱体化しようとしていると反発した。
「ユダヤの力」は世論調査で一貫して得票率3.5%を余裕でクリアし、7~8議席を獲得する見通しとなっている。
ベングビール氏はXに「どの世論調査でも、『ユダヤの力』は『宗教シオニズム』と統一名簿方式で臨んだ場合、3~4議席を失うことになる」と投稿した。
かつて主流派の政治家から疎外されていた「ユダヤの力」と「宗教シオニズム」はいずれも独立性を維持することを望んできた。
独立性を保つことで、世俗保守のリクードに従属せず、キングメーカーとなり、妥協のない立場を押し通すことが可能となっているからだ。
ベングビール氏はネタニヤフ氏に対し、「ユダヤの力」の代わりに「イスラエルの民」を「宗教シオニズム」と共闘させることを提案した。
ベングビール氏とスモトリッチ氏は過去に2度統一名簿方式で選挙に臨んだ。2021年には6議席を獲得し、2022年には14議席を獲得した。その後7議席ずつでベングビール氏の「ユダヤの力」とスモトリッチ氏の「宗教シオニズム」に分裂した。(c)AFP