[KWレポート] 日韓ビジネス仕事人(15)…韓国コスメを日本へ、秘けつは「緻密さ」と「スピード」の融合
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【08月29日 KOREA WAVE】韓国コスメの日本進出を牽引し、LINEギフト市場で急成長を遂げる「Popokii(ポポキ)」。代表を務めるキム・ジュヒョン(金柱亨)さんは、ソウル大学卒業後、三菱商事や米アマゾンの韓国法人「アマゾン・コリア」、さらにソフトバンク、CRM(顧客関係管理)プラットフォームの米セールスフォース、中国ネット大手の字節跳動(バイトダンス)といったトップ企業を経て起業した。日韓両国の歴史や地政学的な背景にまで及ぶ深い洞察を持ち、ビジネス文化を知り尽くしたキム・ジュヒョンさんに、日本との出会いからキャリアの変遷、現場での緻密な戦略、そして日韓の強みを掛け合わせた独自のビジネスモデルについて聞いた。【KOREA WAVE編集長 西岡省二】
── まず、日本との最初の接点について教えてください。
「最初はプライベートな出会いでした。ソウル大学経営学部に在籍していた2009年から2010年頃、北京大学へ交換留学をしていたのですが、そこで北京師範大学に留学していた日本人の女性と出会ったんです。オリンピック直後でダイナミックに変わる北京で、当時はお互い中国語で会話していましたね。その女性はのちに妻となりました」
── 日本に来る前の、日本に対する印象はいかがでしたか?
「正直なところ、最初は知識も少なく白紙に近い状態でした。ただ、韓国の歴史教育ではどうしても植民地時代や戦争にフォーカスするため、根底にはネガティブな印象がありました。それがガラリと変わったのは、北京で日本の友人がたくさんできたからです。実際に彼らと触れ合い、教科書やメディア越しではない『生の人感』に触れる中でギャップを感じ、客観的に日本を知りたいと思うようになりました。そこからルース・ベネディクトの『菊と刀』を読んだり、三菱商事の選考に向けて山岡荘八の『徳川家康』や幕末の坂本龍馬に関する本を読み込んだりしました。歴史や文化を学ぶにつれ、ネガティブな感情は消え、日本が近代化を成し遂げたプロセスへの尊敬と客観的な理解へと変わっていきました」
── 大学卒業後は三菱商事に入社されています。
「商社に入ったきっかけは、プライベートでの要因と、商社のビジネスに強い関心があったことです。全ての産業を網羅する商社だからこそ生まれる相乗効果を体感したいという思いと、永続する企業のあり方を学べる環境に大きな魅力を感じました」
── どのような選考だったのでしょうか。
「韓国と中国を対象とした『グローバル採用枠』でした。最終選考は韓国であり、私と高麗大学出身の友人の2人が合格し、エネルギー部門に配属されました。選考自体は4日ほどで、テストや面接が手際よく進められました。当時はまだ日本語ができなかったので、スタッフに通訳していただきながら選考を受け、合格が決まってから本格的に日本語の勉強を始めました。中国語の学習経験から漢字が読めたことは、日本語習得において非常に有利でした」
── 三菱商事での働き方はいかがでしたか?
「入社当時は、毎朝7時に出社して仕事や勉強をこなし、夜は接待や飲み会、週末はゴルフという、伝統的な日本企業の働き方を徹底的に体験しました。『日本社会において、日本語も完璧でない自分はマイナーだ。だからこそ、普通の日本人の3倍努力しなければ生き残れない』という危機感を持って必死に喰らいつきましたね」
「商事で叩き込まれたのは『根回し』と『ほうれんそう(報告・連絡・相談)』、そして徹底的なリスク管理です。十分にリスクを洗い出し、成功確度を高めてからプロジェクトを進める緻密さがあり、組織を動かす上での最高の基礎を学びました」
── その後、反対を押し切ってAmazon Koreaへ転職されています。大きなギャップがあったのでは?
「まさに『真逆の世界』でした。商事からはシンガポールやアメリカ赴任なども打診していただき大変感謝していたのですが、これからはITの時代だと確信し、Amazon Koreaの社長との約束を優先して決断しました。その後、ソフトバンク、Salesforce、ByteDanceといったグローバルIT企業でのキャリアも重ねていくことになります」
「三菱商事が長期的な信頼構築とリスク管理重視なのに対し、Amazonは週単位の売り上げKPIを追う厳しいサバイバル環境。スピード感が全く違いました。ですが、もともと『早くやりたい』という韓国人気質を持つ自分にとって、三菱商事の『緻密さ・リスク管理』とIT企業の『スピード感・KPI主義』の両方を経験できたことは大きな財産になりました。大企業やプラットフォームをどう動かすかという実務ノウハウは、今のビジネスに直接活きています」
(c)KOREA WAVE/AFPBB News