韓国政府が策定した「大韓民国AI倫理原則」の主な内容を生成AIで制作したインフォグラフィック (c)news1
韓国政府が策定した「大韓民国AI倫理原則」の主な内容を生成AIで制作したインフォグラフィック (c)news1

【08月28日 KOREA WAVE】韓国政府が人工知能(AI)の倫理原則を確定し、「人間中心」「公平性」「透明性」など抽象的な原則を企業や利用者が実際の現場でどう適用するかが次の課題となっている。

科学技術情報通信省と情報通信政策研究院(KISDI)は、第12回科学技術関係閣僚会議を経て「大韓民国AI倫理原則」を確定した。人間中心性、プライバシー保護、公平性・包摂性、責任性、安全性、信頼性、透明性の7原則を掲げた。

法的拘束力はなく、企業や利用者に新たな義務を課す規制ではなく、AIの開発・提供・利用時に参考とする自主的な規範と位置付けられている。政府は、自主的な倫理原則が機能すれば法的規制を減らす効果も期待できるとしている。

一方、現場では「透明性」を守るため利用者にどこまで情報を提供する必要があるのか、「公平性・包摂性」のためデータやアルゴリズムの偏りをどの程度確認すべきかなど、具体的な基準が不明確との指摘が出ている。

企業側は国家レベルのAI倫理基準の必要性には理解を示す一方、原則が将来の立法や規制の基準になる可能性を警戒している。特に学習データに関する透明性については、公開範囲を巡る議論が続いているためだ。

政府は、アルゴリズムや営業秘密の公開を求める趣旨ではなく、一般の利用者が理解できる水準で十分な説明を求めるものだとしている。今後、事例を中心とした解説書や分野別の自主点検表、対象別の倫理教育教材を作成し、具体的な適用基準も示す方針だ。

また、大企業に比べAI安全・倫理の専門組織や人材を確保しにくい中小企業やスタートアップへの支援も課題となる。業界からは、倫理原則の水準を下げるのではなく、企業が実際に順守できる環境や支援体制を整えるべきだとの意見が出ている。

AI基本法との役割分担も今後の論点となる。政府は、AI基本法が法的義務を定める一方、倫理原則は法律で細かく規定しにくい領域で自主的な判断を助ける規範だと説明している。

生成AIに続き、複数の作業を自律的に処理するAIエージェントなど新技術が登場する中、政府は倫理原則を継続的に点検・補完し、国際社会とも共有していく方針だ。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News