■「氷河湖決壊洪水」

当初は、気候変動による氷河融解に伴いリスクが高まっている「氷河湖決壊洪水(GLOF)」の可能性も示唆されていた。

氷河湖決壊洪水は、氷河の融解水をせき止めているもろい土砂の壁が突然崩壊し、たまっている水が一気に流出することで発生する。

オーストラリア・サンシャインコースト大学の氷河学者、アドリアン・マカルム氏は「膨大な量の水が突然谷を流れ下る唯一の理由は、溜まっていた水が一気に解放されたからだ」とAFPに語り、今回の災害でGLOFが起きた可能性を示唆した。

一方、他の専門家からは、崩落現場付近で既存の氷河湖を確認できず、氷河の下に溜まった水が崩壊した氷の塊とともに流れ落ちたことが推測できるとの意見も挙がった。

崩落した氷河が一時的に川をせき止め、その後、溜まった水が一気に放たれた可能性もある。

コックス氏は、上流での夏の氷河融解とモンスーンの雨により川の水位はすでに高くなっており、崩落現場から数キロ流れる中で巻き込まれた泥やがれきによって全体の水量もさらに増した可能性があると付け加えた。

■気候変動

氷河に関する事象を気候変動と直接的に結びつけるのは難しいものの、地球温暖化はこれら太古の「氷の河」にとって持続的なストレスとなっていると専門家は指摘する。

氷河の後退は世界的に見られる現象で、災害リスクをもたらすだけでなく、下流域のコミュニティから貴重な水資源を奪うことにもつながっている。

前出の氷河学者バーゴ氏は、「こうしたリスクを軽減する最も大きな方法は、温室効果ガスの排出を削減して温暖化を抑えることだ」と強調した。(c)AFP/Sara Hussein with Issam Ahmed in Washington