北朝鮮、米朝対話の扉は閉ざさず…中間選挙控えるトランプ氏との駆け引き続く
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トランプ米大統領が2026年内にキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記と会談する意向を示し、対話再開を急ぐ一方、北朝鮮はキム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党総務部長の談話とミサイル発射後、23日まで3日間にわたり追加の公開メッセージを出していない。
11月の中間選挙を控え外交成果を必要とするトランプ氏とは対照的に、中国、ロシアとの関係強化で余裕を得た北朝鮮は、米国の次の対応を見極めながら交渉条件を引き上げようとしているとみられる。
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」と朝鮮中央通信などによると、北朝鮮は20日夜のキム・ヨジョン氏の談話以降、米国に向けた追加メッセージを出していない。
北朝鮮は同日、日本海に向け短距離弾道ミサイル10発余りを発射したが、この事実も国営メディアでは別途報じなかった。軍事的な警告を発しながらも、国内外向けの宣伝や追加の対米非難には広げず、強度を調整している形だ。
キム・ヨジョン氏は、トランプ氏の指示で米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」が大幅に縮小されたことについて、米国の「善意のジェスチャー」とは受け取れないと主張した。演習規模が縮小しただけでは、米国の対北朝鮮敵視政策が根本的に変化したとは評価できないとの立場だ。
一方で、トランプ氏とキム総書記の個人的な関係については依然として「素晴らしい」と評価し、首脳間対話の可能性そのものは否定しなかった。対話の枠組みは維持しつつ、米国側により大きな政策転換を求める姿勢とみられる。
キム総書記にとっては、2018~2019年の初の米朝首脳外交のころと比べ、交渉を急ぐ理由が少なくなっている。当時は国際社会による強い制裁と外交的孤立の中、米国との交渉を通じた制裁緩和が切実だった。
しかし現在は、中国との貿易で経済的な余地を確保し、ロシアには兵力や武器を支援する見返りとして軍事・経済協力を拡大するなど、外部からの圧力に耐えられる環境が広がった。
韓国銀行は先月、北朝鮮経済について、中国、ロシアとの貿易拡大などを背景に2025年に3.5%成長したと推計した。中国とロシアの支援が制裁による負担を完全になくすわけではないものの、米国との交渉が遅れたり決裂したりしても耐えられる余力につながっている。
こうした状況は、北朝鮮が先に譲歩する必要性を下げる一方、交渉入りの条件を高める要因になり得る。米国による合同軍事演習の縮小だけで動くより、対北朝鮮敵視政策の根本的転換を求め、追加措置を待つ方が有利だと判断する可能性がある。
北朝鮮が最終的に狙っているのは、核保有国と同様の法的地位を得ることよりも、米国に非核化を関係改善の前提条件から外させることだとの分析も多い。北朝鮮を非核化の対象ではなく、核軍縮やリスク管理の交渉相手として扱わせ、核保有の現実を事実上受け入れさせようとしているという見方だ。
一方、トランプ氏には11月の中間選挙という政治的な期限がある。
トランプ氏はキム総書記と2026年内に会談したい意向を公に示したうえで、米韓合同軍事演習を大幅に縮小するよう指示した。演習が北朝鮮にとって「敵対的」だとして、対話再開に向けた環境づくりに直接動いている。
背景には米国内の政治状況もあるとみられている。約6カ月続くイランとの戦争が膠着し、ウクライナ戦争やガザ地区問題でも明確な打開策を示せていない。
紛争の長期化が原油価格や物価の負担につながる中、最近のロイター・イプソス調査でトランプ氏の支持率は33%と、2期目の就任以降で最低水準まで低下した。共和党も中間選挙で上下両院の一方、または双方の主導権を失う可能性を警戒する状況にある。
トランプ氏にとっては、中間選挙前に有権者へ示せる外交的な突破口が必要となる。米朝首脳会談は、ほかの外交問題と比べ、首脳同士の会談という目に見える成果を比較的短期間で作り出せる点で選択肢になり得る。
ただ、トランプ氏が北朝鮮に譲歩できる範囲にも限界があるとの見方が出ている。米上院民主党は、軍事演習縮小によって米韓同盟を弱めたと批判し、共和党のリッチ・マコーミック下院議員も懸念を示した。米政権も北朝鮮の完全な非核化という目標を公式には維持している。
トランプ氏は選挙前の目に見える成果を求め、北朝鮮は非核化を前提としない新たな交渉の枠組みを要求している。双方が対話の扉を閉ざさないまま、相手が先に条件を下げるのを待つ駆け引きが当面続くとみられる。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News