【8月30日 東方新報】ろくろの上で土がゆっくりと形を変え、観光客がその周りに座って、土をこねたり形を整えたりしながら伝統的な陶磁器作りを体験する。観光シーズンを迎えた寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)中衛市(Zhongwei)の西夏陶磁器の体験店は、多くの観光客でにぎわっている。

西夏陶磁器は、中国中原地域の窯業の影響を受けながら、タングート族の遊牧文化が持つ素朴で力強い特色を取り入れ、地域の風土や民族独自の美意識を反映している。2019年には、西夏陶磁器の焼成技術が寧夏回族自治区の第5次自治区級無形文化遺産代表項目リストに登録された。

この体験店を運営する楊安(Yang An)氏は、寧夏回族自治区級の西夏陶磁器製作・焼成技術の第5代代表的継承者だ。楊氏によると、工場で大量生産される陶磁器とは異なり、西夏陶磁器は粗い素地に釉薬を施し、下絵を描かずに直接刀で文様を彫る伝統的な手法を用いる。決まった形にとらわれすぎない自由な作風が特徴だという。

楊氏は、西夏陶磁器のマグネットや陶製のコーヒードリッパー、1人用食器、小型の扁壺などをデザインし、古くから伝わる西夏陶磁器を若い世代が日常で使える商品へと展開している。

扁壺は西夏陶磁器を代表する器の一つだ。楊氏は小型の扁壺に革ひもを取り付け、新たな使い方を提案している。「ウイスキーが好きな人なら酒を入れるボトルとして使えるし、ファッションを楽しむ女性なら個性的なショルダーバッグとしても使える」と話す。小型の扁壺は現在、店の人気商品となっており、発売以来の販売数は1万点を超えた。

現在、楊氏は40店以上と提携し、西夏陶磁器を販売している。「安定した市場の反応が、新しい商品を生み出す余地につながっている」と話す。楊氏はSNSで、自身の陶磁器作りの経験や製作工程、商品のデザインに込めた考えなども発信している。短い動画や写真、文章を通じて、土が一つの器になるまでの過程を紹介し、若い利用者との交流を図っている。

西夏陶磁器の「V60ハンドドリップ用コーヒードリッパー」を紹介した動画では、日差しを受けて浮かび上がる器の模様や、ろくろを回しながら指先で土を形作る様子、窯を開けて完成品を確認する瞬間などが紹介された。動画には更新を楽しみにする声や、購入方法を尋ねるコメントが寄せられている。

体験店の講師、常佳美(Chang Jiamei)さんによると、インターネットで西夏陶磁器を知り、土から器ができるまでの工程を体験するために店を訪れる観光客も少なくない。7~8月の観光シーズンには、店内が満席になることも多いという。

常さんは「地元の陶土を使って伝統的な形の器を作る。土を二つ用意し、一つは練習用、もう一つは作品用にする。初日にろくろで形を作り、2日目に文様を彫ることで、自分だけの『西夏陶磁器』をじっくり作ってもらっている」と説明する。こうした体験を通じ、旅行中に西夏陶磁器に触れる人が増えている。

今年8月には、西夏陶磁器の関連商品がマレーシアで開催された旅行展示会「MITM」に出展された。楊氏は、今後も実用性のある新商品を増やし、約1000年の歴史を持つ西夏陶磁器を海外にも広めていきたいとしている。(c)東方新報/AFPBB News