【9月1日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)の杭千高速道路・新安江料金所でこのほど、重機を積んだトラックが計量の際、規定の重量を超えていることが分かった。係員が確認したところ、重機のクローラーに大量の土が付着していたことが原因だった。そこで料金所の係員らは、運転手とともにスコップで土を取り除いた。約0.8トンの土を落として再び計量したところ、規定の重量内に収まり、トラックは通行することができた。

通常、重量超過の車両は通行できないが、今回は原因がその場で取り除けるものだったため、現場で対応した形だ。この出来事がインターネットで紹介されると、「ルールを守りながら、利用者の事情にも配慮している」「こうした対応も良好なビジネス環境につながる」といった声が寄せられた。こうした現場での対応は、浙江省が行政サービスの改善に力を入れてきたこととも重なる。

2025年、浙江省の常住人口は人口移動によって38万9000人の純増となった。過去5年間では累計233万人増えている。一方、2025年の出生数は35万8000人、死亡数は43万7000人で、自然増減では7万9000人減少した。自然減が続く一方で常住人口が増えている背景には、省外などからの人口流入がある。

その要因の一つが豊富な雇用機会だ。浙江省の一定規模以上の工業企業数は全国3位となり、デジタル経済や先端製造、バイオ医薬品などの新興産業が多くの雇用を生み出している。

2024年には、常住人口1万人当たりの企業数が351.2社と全国平均を47.3%上回った。建設用地1平方キロ当たりの企業数は1602.7社で、全国平均を122.2%上回っている。2025年末時点で、浙江省に登録されている民営企業は376万8900社に達し、人口1000人当たり56.5社となった。

一方、雇用の多さだけでなく、企業や住民に対する行政サービスも人口流入を支える要素となっている。中華全国工商業連合会による民営企業を対象としたビジネス環境調査では、浙江省は市場環境、法治環境、イノベーション環境、行政サービス環境の4項目で全国首位となった。このうち行政サービス環境は4回連続で首位となっている。

浙江省ではこれまで、行政手続きを窓口への訪問1回で済ませる取り組みを進め、さらにオンラインなどを活用して窓口に出向かず手続きを完了できる仕組みへと発展させてきた。また、企業や住民自身が支援策を探すのではなく、条件に該当する人や企業に行政側から情報を届ける仕組みを導入。通常の窓口では解決が難しい案件を受け付ける専用窓口なども整備している。

新安江料金所の職員は今回の対応について、「手伝えることなら手伝う」と話した。こうした現場での柔軟な対応も、行政サービスを利用しやすくする取り組みの一つといえる。

浙江省では、企業や住民を支援する取り組みを農村や工場、貿易拠点などにも広げている。温州市(Wenzhou)では、地域の雇用ニーズに合わせて仕事を提供する「共同富裕工房」が373か所設けられ、約2万人の雇用につながっている。義烏市(Yiwu)では対外貿易の拡大が続き、越境ECに携わる事業者は30万を超えている。

浙江省では、支援の可否だけでなく、より迅速で効果的な支援のあり方を模索している。経済水準の高さも人口を引き付ける要因の一つだ。2025年の浙江省の1人当たり可処分所得は7万元(約165万2868円)を突破した。また、第14次5か年計画(2021~2025年)の期間中、都市部と農村部の住民所得の格差は1.96倍から約1.81倍に縮小した。

ただ、所得や雇用だけでなく、企業や住民が直面する具体的な問題に行政がどう対応するかも、地域の暮らしやすさや事業のしやすさを左右する。新安江料金所での出来事もその一例だ。規則に従って重量超過のトラックを通行させないだけでなく、原因を確認し、その場で解決できる方法を探した。

過去5年間、浙江省は中国で人口の純流入が最も多い省となった。産業の成長や雇用機会に加え、企業や住民の利便性を高める行政サービスも、人口流入を支える要素となっている。

地域の実情に応じた柔軟な行政サービスをどこまで継続し、産業や暮らしの環境改善につなげられるかが、今後の浙江省の発展を考える上でも重要になりそうだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News