米ワシントンの商務省でラトニック商務長官と会談するキム・ジョングァン(金正官)産業通商資源相=産業通商省提供、2026年5月10日(c)news1
米ワシントンの商務省でラトニック商務長官と会談するキム・ジョングァン(金正官)産業通商資源相=産業通商省提供、2026年5月10日(c)news1

【08月20日 KOREA WAVE】韓国のキム・ジョングァン(金正官)産業通商資源相が、2000億ドル(約29兆円)規模の対米投資の初号プロジェクトをめぐり、ラトニック米商務長官と接触するなど、米通商当局との最終調整に入った。ジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表との会談も調整しており、8月末の発表を目標に事業内容や条件をめぐる協議が続いている。

米国が韓国に投資実行を急ぐよう求める中、両国間の緊張感も高まっている。初号案件の発表が遅れる中、トランプ米大統領が米韓合同軍事演習の規模縮小を指示し、米メディアは背景の一つとして韓国の対米投資実行の遅さに対するトランプ政権の不満を挙げた。

具体的な投資分野も焦点となっている。韓国側は商業的な合理性を重視し、エネルギー分野への投資を優先的に検討してきた。一方、米国ではサムスン電子やSKハイニックスなど韓国半導体企業による現地生産の拡大を求める動きがあるとの観測も出ている。

通商当局などによると、キム・ジョングァン氏は米国でラトニック氏と会い、2000億ドル規模の投資初号案件について協議した。7月22~25日に対米投資と造船協力をめぐって訪米して以来、約3週間ぶりとなる。

米政治専門メディア「ポリティコ」は17日(現地時間)、キム・ジョングァン氏がラトニック氏と対米投資プロジェクトについて話し合ったと報じた。韓国が提示した投資案件と米国側の追加要求をめぐって最終調整が進むとみられる。

キム・ジョングァン氏はグリアUSTR代表との会談も進めている。通商交渉本部長が空席の中、産業通商相が米国の主要通商当局者と相次いで会い、懸案を調整する形となっている。

米側では投資実行の遅さへの不満も強まっている。ポリティコによると、トランプ政権は韓国が約束した3500億ドル(約50兆7500億円)の対米投資の実行が予想より遅いと判断している。造船協力に割り当てられた1500億ドル(約21兆7500億円)を除く2000億ドルについては、具体的な投資先がまだ確定していない。

また、グリア氏との協議では、早ければ8月末に発表されるとみられる米通商法301条に基づく過剰供給調査の結果も主要議題になる見通しだ。

初号案件をめぐっては、韓国政府が米国内のエネルギー分野への投資を優先的に検討してきた。韓国では、テキサス州エンシナルのガス複合火力発電所建設事業が有力候補として取り沙汰されている。米国で電力需要が急増する中、発電分野への投資は米国側にも利益があり、韓国企業にとっても事業性があるとの判断が背景にあるとみられる。

一方、最近では米国側が韓国半導体企業の米国内でのメモリー生産施設拡大を求めているとの観測も出ている。韓国大統領府と政府は、米国によるメモリー半導体投資要求について「事実ではない」としているが、ラトニック氏の最近の発言から、米国が韓国企業の現地生産拡大に強い関心を持っているとの見方が出ている。

ラトニック氏は7月、米マイクロンのニューヨーク州クレイでの半導体工場建設関連行事でサムスン電子とSKハイニックスに言及し、両社に米国内で工場を建設してほしいとの考えを示した。

韓国政府が国内半導体クラスターへの大規模投資を進める中、米国がサムスン電子とSKハイニックスに現地生産拡大を求めれば、企業は投資資金の配分を改めて検討する必要がある。国内でも巨額の設備投資が予定されており、米国でメモリーの前工程生産施設まで追加建設すれば、韓国内の投資速度や規模に影響する可能性がある。

メモリー半導体は生産能力そのものが競争力に直結する戦略産業だ。米国が自国企業マイクロンの生産拡大を契機にサムスン電子とSKハイニックスまで米国中心の供給網に取り込もうとしているのであれば、単なる企業誘致を超えた半導体供給網再編の一環と見る余地もある。

韓国側が事業性と国内産業への影響を考慮してエネルギー分野を初号案件として提示する一方、米国が半導体を優先する構図であれば、両国が想定する「初号案件」の方向性そのものが異なることになる。

キム・ジョングァン氏は「何としても8月末の発表を目標に解決する」としている。ただ、米国側の要求が増えるほど韓国内の戦略産業への投資との衝突も大きくなる可能性があり、投資分野と規模をめぐる両国の調整は当面続く見通しだ。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News