【8月31日 CNS】河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)では、外国人旅行者が唐代の斉胸襦裙(胸元までスカートを引き上げる漢服)を身にまとい、披帛(ひはく)と呼ばれる細長いショールを肩に掛け、龍門石窟や洛水のほとり、洛邑古城で中国らしい趣のある写真を撮影している。江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)の老門東では、落ち着いた色合いの宋代様式の褙子(上着)や百迭裙(プリーツスカート)が外国人旅行者に人気だ。訪中旅行市場が急速に拡大する中、無形文化遺産の伝統技術や中国風ファッションを取り入れた「国潮」の文化・クリエーティブ商品や没入型の文化体験が注目を集め、「China Chic」が外国人旅行者にとって中国を知る新たな方法となっている。

「China Chic」は、中国の「国潮」を英語で表現した言葉で、中国文化をベースに現代のファッションを融合させたデザインの潮流を指す。今年に入り、漢服に代表される「China Chic」が、外国人旅行者を中国へ引き付ける新たな魅力となっている。

山東省(Shandong)曹県では、オーストラリアから訪れたエミリーさんが、えんじ色の金糸を織り込んだ馬面裙を試着し、「上品で軽く、着心地もいい。それに手作りなのも魅力」と絶賛した。その場で2着を購入し、「1着は自分用、もう1着は妹へのプレゼント」と話した。曹県は中国有数の漢服の生産・販売拠点で、2024年の輸出額はすでに1000万ドル(約15億9430万円)を超えている。

中国国家移民管理局のデータによると、2026年上半期に中国を訪れた外国人は延べ2291万4000人で、前年同期比20.4%増加した。外国人旅行者の増加に伴い、「China Chic」関連の消費も伸びている。漢服や「国潮」デザインのアクセサリーなど、中国らしい美意識を取り入れた商品を目当てに買い物をする外国人も多く、自分で身に着けるだけでなく、家族や友人への土産として持ち帰っている。

「China Chic」の人気を支えているもう一つの要素が、文化を実際に体験する「没入型」の観光だ。世界観光連盟が発表した報告書によると、今年上半期、中国の訪中旅行市場は、政策による後押しを中心とした段階から、旅行者自身の体験を重視する段階へと移りつつある。

甘粛省(Gansu)甘南チベット族自治州(Gannan Tibetan Autonomous Prefecture)では、デンマークから訪れたエミル・ゴーム・ラスムセンさんが、絵師の指導を受けながら、仏眼を描いた小さなタンカ(唐卡、チベット仏教の宗教画)の制作を一通り体験した。「精緻に描かれたタンカには、東洋ならではの静謐な美しさがある。自分の手でこの小さなタンカを作れたことは、甘南の旅で一番の驚きだった」と語った。

「China Chic」が世界の人々を魅了する背景には、伝統と現代を融合させた新たな取り組みもある。安徽省(Anhui)黄山市(Huangshan)の屯溪老街にある「霊犀無形文化遺産館」は、伝統的な漆器にテクノロジーの要素を取り入れ、ファッションや化粧品ブランドとも連携。ネックレスやブローチ、バッグ、自動車の内装品など幅広い商品を開発し、外国人旅行者から人気を集めている。中国の伝統工芸を受け継ぎながら、現代の美意識や実用性も備えたこうした商品によって、外国人旅行者は中国の美を日常生活に持ち帰ることができる。

専門家によると、外国人の中国旅行は、名所を巡って写真を撮る従来型の観光から、その土地の文化や暮らしを深く体験するスタイルへと変化している。中でも買い物は、中国ならではの暮らしを体験する重要な手段となっている。出国時の税還付制度の改善、多言語サービスの充実、デジタル決済の利便性向上も、こうした体験型消費の継続的な拡大を後押ししている。

外国人旅行者が中国で購入する商品にも変化が起きている。かつてはシルク、茶、陶磁器が定番の土産だったが、現在ではスマートフォン、ドローン、VRゴーグルなど中国ブランドの新しい製品に加え、「国潮」の文化・クリエーティブ商品や無形文化遺産をモチーフにしたグッズも人気を集めている。

中国観光研究院の戴斌(Dai Bin)院長は、中国の観光業は観光地や文化財を紹介するだけでなく、現代のライフスタイルや発展の成果も世界に発信する必要があると指摘する。外国人旅行者に「来てもらう」だけでなく、「楽しんでもらい、長く滞在してもらい、また来たいと思ってもらう」ことが重要だとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News