巧妙に偽造された偽公文書(c)news1
巧妙に偽造された偽公文書(c)news1

【08月13日 KOREA WAVE】消防用品の代理購入を求める手口が中心だった韓国の官公庁なりすまし詐欺が、業種ごとの特徴に合わせて設備購入を迫る「先払い・後で返金」型へと巧妙化している。

貴金属店には本人確認用キオスク(無人注文機)、洗車場には排水処理設備の購入を求める手口が広がっている。犯人側は自治体のロゴや公印をまねた公文書を送り、「先に購入すれば費用を全額返金する」と持ちかけ、従わなければ現場点検や過料処分があると脅す。

news1の取材によると、最近、京畿道楊州市で洗車場を経営する店主のもとに、楊州市環境政策課水質管理チームの職員を名乗る男性から電話があった。

男性は個人の携帯電話から「12日から汚水・排水処理施設の点検を実施する」と話し、関連する公文書を受け取ったか尋ねた。店主が受け取っていないと答えると、ショートメッセージで公文書と支援事業申請書を送ってきた。

楊州市のロゴと公印のような印が押された文書には、排水処理施設に「IoT基盤の水質モニタリングシステム」と「自動汚泥除去装置」を設置しなければならないと記載されていた。未設置の場合、改善命令や過料、行政処分を受ける可能性があるとの警告もあった。

一方で、指定業者から設備を先に購入すれば、審査後に費用を全額返金すると案内していた。申請書には事業者登録番号、事業所の所在地、返金先の口座番号や名義人など、事業・金融情報を記入するよう求めていた。

店主は電話後、楊州市役所の代表番号に問い合わせ、事実関係を確認した。市はこうした内容で電話や公文書を送った事実はないとして、詐欺電話に注意するよう案内した。実際の購入や送金被害は発生しなかった。

偽公文書は、実在する部署名や支援事業の用語を組み合わせ、信頼性を高めていた。楊州市には、排水施設の指導・点検を担当する環境政策課水質管理チームが実際に存在する。

さらに、楊州市がIoT測定機器の設置支援事業を実施していることも混乱を招く要因となり得る。ただ、実際の事業は気候エネルギー課が大気排出施設を対象に、設置費の最大60%を支援するものだ。指定業者から排水処理設備を購入すれば全額返金するという偽公文書とは異なる。

同じ日には、ソウルの一部貴金属店にも類似した偽公文書が届いた。犯人側はボイスフィッシングや資金洗浄を防ぐための本人確認キオスク設置支援事業があるように装った。

ソウル市の名称やロゴ、偽造した公印が入った文書には「設置費100%支援」「未設置の場合は過料」といった文言が記載され、特定業者からキオスクを先に購入すれば、審査後に費用を返金するとしていた。手口は楊州市の洗車場のケースと同じだった。

両事件の犯人が同一かどうかは確認されていない。ただ、官公庁のロゴや公印を偽造し、法令改正や現場点検を持ち出して特定設備を先に買わせるという構造は共通している。

官公庁を装った詐欺はすでに全国的な被害につながっている。消防庁によると、3月末時点で直近1年間に確認された消防機関なりすまし犯罪の試みは1309件に上った。このうち161社が実際に被害を受け、被害額は29億5000万ウォン(約3億2450万円)だった。

当初は消防署名義で救急箱やはしごなどの代理購入を依頼し、代金をだまし取る手口が多かったが、最近では点検や過料を持ち出し、特定業者の高額な消火器や消火設備を購入させる形に変化している。

ソウル市の公務員なりすまし詐欺被害申告センターにも、2025年7月から2026年4月までに225件が寄せられ、このうち17件で実際の被害が発生し、被害額は4億3630万ウォン(約4800万円)に達した。

専門家は、個人の携帯電話から特定業者を紹介されたり、緊急の購入や前払いを要求されたりした場合は、まず取引を中止するよう呼びかけている。相手が教えた番号ではなく、官公庁の公式サイトで代表番号や担当部署の連絡先を直接確認する必要があるという。

順天郷大学警察行政学科のキム・ヨンシク教授は「公文書を偽造するなど、官公庁なりすまし犯罪はますます巧妙になっている。個人情報や金銭を求められた場合は、必ず該当機関に直接電話して確認する習慣を持つべきだ」と述べた。

楊州市関係者も「市では電話で支援事業を案内することはない。最近、官公庁を装った電話が相次いでいるため、担当部署に問い合わせて必ず事実確認し、被害に遭った場合は直ちに警察へ通報してほしい」と呼びかけた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News