2026年6月、ソウルの地下鉄でトラブルに巻き込まれた乗客が、防犯カメラ映像がないことを理由に双方暴行の疑いで送検された後、不起訴処分となった(c)MONEYTODAY
2026年6月、ソウルの地下鉄でトラブルに巻き込まれた乗客が、防犯カメラ映像がないことを理由に双方暴行の疑いで送検された後、不起訴処分となった(c)MONEYTODAY

【08月12日 KOREA WAVE】ソウルの地下鉄でトラブルに巻き込まれた乗客が、防犯カメラ映像がないことを理由に「互いに暴行を加えた疑い」で送検された後、不起訴処分となっていたことが分かった。地下鉄犯罪の捜査を専門とする地下鉄警察隊があるものの、ソウル全域で発生する地下鉄犯罪を担うには人員が不足しているのではないかとの指摘が出ている。

ソウル北部地検は6月24日、暴行の疑いで送検された30代男性を不起訴処分とした。同じ日に双方暴行として送検されたもう一人の男性は略式起訴された。

これに先立ち、ソウル江北警察は5月、江北区の牛耳新設軽電鉄の車内で争った2人を暴行の疑いで立件した。

調べに対し、不起訴となった男性は、もう一人の男性が身体接触を理由に言いがかりをつけてきたと説明。その後の争いで列車の外へ無理やり引きずり出され、上着が破れたほか、携帯電話が線路に落ちて壊れたと主張した。

警察は、列車内の防犯カメラの記録装置が故障しており、当時の状況を正確に捉えた映像がなかったため、一方的な暴行とは判断しにくいとみた。双方の供述を基に、2人とも検察に送致した。

しかし、検察は警察と異なり、一人だけを起訴した。判断が分かれた背景には、ホームを映した防犯カメラ映像の解釈の違いがあった。

地下鉄犯罪は場所の特性上、防犯カメラ映像の確保と分析が捜査結果を大きく左右する。列車内は人が密集するため、映像の分析も難しいという。

地下鉄警察隊の警察官は「どの車両も風景が似ており、人も密集しているため、犯行場面を捉えるのが難しい。一般的な事件よりも防犯カメラを分析する能力が必要な分野だ」と説明した。

一方で、専門性を備えた人員は不足している。ソウル警察庁地下鉄警察隊はソウル市内の地下鉄で発生する犯罪を管轄しているが、総人員は118人にとどまる。このうち捜査担当は4チーム44人で、捜査チームが配置されている駅も堂山駅、梨水駅、往十里駅、鐘路3街駅の主要乗換駅4カ所だけだ。

ソウル交通公社には地下鉄保安官がいるものの司法権はなく、国土交通省所属の鉄道特別司法警察隊は広域電鉄区間のみを管轄している。

捜査人員が足りず、一般の警察署と事件を分担するため、事件をどこに移すかの基準も曖昧だという。警察関係者は「地下鉄警察隊の人員が多くないため、現場に近い地域の警察が先に出動する場合が多い。現場に出た警察官の判断で、一般の警察署に事件を移すこともある」と話した。

こうした捜査人員の不足と不明確な管轄基準が、被害者の権利を損なう可能性も指摘されている。

順天郷大学警察行政学科のオ・ユンソン教授は「事件を迅速に解決するため地域警察の協力を受けることはできるが、捜査そのものは専門性を持つ地下鉄警察隊が担うのが原則だ」と述べた。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News