【8月21日 CNS】ブラジルの首都ブラジリア郊外にあるFALファミリーファームでは、整然と並ぶ農地の近くにある白い作業棟で、ブラジリア科技小院のブラジル側責任者であるセルジオ・シャウル(Sergio Sauer)教授が、土壌水分や各種データが表示された大型モニターを見つめていた。

シャウル教授は、農地北西部の土壌水分が警戒水準を下回りそうになると、マウスで灌漑エリアを指定し、散水時間を25分に設定して「開始」ボタンをクリックした。すると約数キロ離れた農地では、自動的に灌漑設備が作動し、小麦畑へ散水が始まった。

これは、中国とブラジルが共同で進めるスマート農業プロジェクト「科技小院」の日常風景の一例である。この事例は、2026世界人工知能大会(WAIC)および人工知能グローバルガバナンス・ハイレベル会議で公表された事例集「中国智・恵世界(2026)」にも収録された。

中国国家発展改革委員会は、この事例集を3年連続で発表しており、今回はAI分野における国際協力の事例10件を紹介している。事例集からは、中国のAIが研究室の中だけにとどまる技術ではなく、人びとの暮らしや産業に役立つ実用技術として活用されていることがうかがえる。

スマート五輪や地球観測、ゴム加工、スマート農場、送電網の運用、グリーン通信、がん検診、海洋創薬、スマートモビリティ、防災・減災など、AIはさまざまな分野で活用され、産業の高度化や人びとの暮らしの向上に貢献している。また、AIの恩恵を広く共有し、グローバルガバナンスを推進する中で、国境を越えた互恵的な「中国モデル」が次々と生まれており、中国が世界とAI技術の成果を共有していることを示している。

同事例集は、「協議・共同建設・成果共有」の理念の下、各国と協力しながらAIの成果を世界へ広げていくという中国の姿勢も打ち出している。一方、成果をまとめた事例集と同時に公表された「人工知能協力発展行動計画」は、今後の国際AI協力の方向性を示すものとなった。

同計画では、質の高いデータ供給、計算資源の普及、オープンソース・エコシステムの共有、AIの産業応用、人材育成、ルールや標準の共同策定、安全ガバナンス、AIの倫理的活用など8項目の行動を掲げ、AI協力の全分野を網羅している。

国家発展改革委員会イノベーション駆動発展センターの霍福鵬(Huo Fupeng)主任は、「世界のAI協力を理念から実践へと進める重要な取り組みだ」と述べた。また、世界ではAI開発の地域間格差が依然として存在し、多くの発展途上国では計算資源などの基盤整備が課題となっている。同計画は、計算資源やデータから産業応用、人材育成までを含む包括的な協力の枠組みを示し、各国がAIの恩恵を公平に享受できる環境づくりを目指している。

世界では、技術を競争や対立の手段とし、技術障壁を設ける動きもみられる。一方、中国は技術の開放と共有を掲げ、AI分野における国際協力を進めている。AIの発展は、人類の幸福に貢献する方向へ進むべきだという考え方を、中国は国際協力を通じて示している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News