中国Z世代 ダイビング人気
このニュースをシェア
【8月15日 東方新報】「じゃあ、水中で会おう」
ダイビングマスクやシュノーケル、フィンを装着し、タンクの空気圧や器材を確認すると、ダイバーたちは次々と水中へ入っていく。ゆっくりと潜っていくにつれ、水面の喧騒は遠ざかり、静かで未知の水中世界が目の前に広がる。
近年、ダイビングは探検性や体験性、交流性を兼ね備えたスポーツとして、中国の若者の間で人気が高まっている。Z世代にとっては、休日のレジャーや交流の場であると同時に、ストレスを解消する新たな手段にもなっている。
山東省(Shangdong)済南市(Jinan)のダイビング体験施設で初めてダイビングに挑戦した王悦(Wang Yue)さんは、「最初は呼吸のリズムや耳抜きに慣れず少し緊張したが、水中に入ると想像以上に静かで、陸上での運動とはまったく違った。自然と気持ちが落ち着き、頭を空っぽにできた」と振り返る。
ダイビング施設のスタッフ、陸言(Lu Yan)さんによると、この2年ほどでダイビング人気は急速に高まり、利用者の中心は若者だという。週末や祝日は1週間前には予約が埋まることも珍しくない。かつては旅行先で楽しむ特別なアクティビティや一部の愛好家向けスポーツという印象が強かったが、今では都市部でも気軽に楽しめるレジャーとして定着しつつある。友人同士で訪れる人や、ショート動画を見て興味を持ち体験に訪れる人も多い。
ダイビング前には、インストラクターが水中での呼吸方法や耳抜き、緊急時の対応などを丁寧に説明し、安全講習や基本動作の練習を行う。7年以上の経験を持つダイバーの鄭萌(Zheng Meng)さんによると、ダイビングはシュノーケリング、フリーダイビング、スキューバダイビングの3種類に大きく分けられる。フリーダイビングはボンベを使わずに潜るため、高い呼吸技術や肺活量、精神的な安定が求められる。一方、スキューバダイビングは空気ボンベを使用するため、初心者でも本格的に水中世界を体験しやすい。シュノーケリングは水面に浮かびながら海中を観察する、手軽に楽しめるスタイルだ。
多くの愛好者が口をそろえるのは、ダイビングの魅力は運動そのものではなく、「没入感のある癒やし」にあるということだ。ダイビング歴2年の景睿(Jing Rui)さんは、「ダイビングはスポーツと体験が融合したアクティビティ。技術を身につける楽しさと、水中を探検する特別感の両方が味わえる」と話す。
「水中では周囲の音が消え、聞こえるのは水の流れる音と自分の呼吸だけ。不安や焦りが少しずつ消えていき、心身ともにリフレッシュできる」と、その魅力を語る。中国国家体育総局体育経済司が公表した「中国アウトドアスポーツ産業発展報告(2024~2025年)」によると、2024年の中国のマリンスポーツ市場規模は4386億元(約10兆1636億円)に達し、前年比18.7%増となった。参加者数は1億2000万人を突破し、VRを活用した登山やサイクリング、ダイビングなど、没入型スポーツも新たな消費トレンドとして注目されている。
山東省青島市(Qingdao)黄島区でダイビングクラブを運営する徐虓(Xu Xiao)さんは、「今の若者はモノだけでなく、体験や感情的な価値にもお金を使うようになった。ダイビング人気の背景には、スポーツと体験を兼ね備えた魅力がある」と分析する。
また、「スポーツは単なる体力づくりではなく、ライフスタイルの一部へと変化している。美意識や交流、気分転換、日常のレジャーなど、さまざまな要素と結び付いている」と話す。水中では、柔らかな光が揺らめき、ダイバーたちは青い世界をゆっくりと泳いでいく。
鄭さんは「ダイビングを始めてから友人とマレーシアへ潜りに行き、昼間は静かでも夜になると活動する海洋生物や、色鮮やかなサンゴを見ることができた。ダイビングのおかげで、地球の新しい世界を発見できたような気がする」と笑顔で語った。(c)東方新報/AFPBB News