京畿道坡州の南北境界地域で向かい合う韓国と北朝鮮の監視所=2025年11月18日(c)news1
京畿道坡州の南北境界地域で向かい合う韓国と北朝鮮の監視所=2025年11月18日(c)news1

【08月10日 KOREA WAVE】北朝鮮が軍事境界線(MDL)を南北を隔てる境界として固定化するだけでなく、前線に配備した通常兵器の火力を韓国全域を標的とする戦術核運用体系と結びつけている――こんな分析が出た。MDL一帯を、いわば「核武装した国境」へ変えつつあるという。

韓国統一研究院のホン・ミン先任研究委員は最近公表した報告書で、2024年1月から2026年6月までの北朝鮮による兵器試験や訓練、武力誇示など160件を分析した。

報告書によると、北朝鮮の「南部国境化」は国境宣言、京義線・東海線の遮断、要塞化と国境管理、法制化、国境火力態勢の転換という段階を経て進められた。

特に目立つのは、射程の異なる兵器をMDL北側の前方軍団地域に重層的に配置し、火力体系を多層化している点だ。

過去の前線火力は首都圏を狙う長射程砲が中心だったが、現在は射程60キロ以上の新型155ミリ自走榴弾砲、90キロの改良型240ミリ多連装ロケット砲、100キロの戦術巡航ミサイル、110~136キロ以上の火星11ラ系列戦術弾道ミサイル、420キロの600ミリ超大型ロケット砲まで、韓国南部へ攻撃範囲を広げている。

ホン・ミン氏は、国境地域に配備された火力だけで韓国全域を段階的にカバーできると分析。600ミリ超大型ロケット砲の射程420キロを公開したことについても、「国境火力が全国攻撃火力であることを示そうとする側面がある」と指摘した。

報告書が特に注目したのは、こうした通常兵器の火力が核戦力と連動している点だ。

北朝鮮は2026年3月、600ミリ超大型ロケット砲について射程420キロと戦術核搭載能力を初めて公に明示。国家核兵器総合管理体系「核の引き金」と連動した訓練も2024年以降、毎年実施しているという。

報告書は、国境警備部隊と前方砲兵、国家核戦力が一つの対応構造として結ばれ、境界地域での衝突が通常兵器による精密攻撃から戦術核、戦略核へと拡大する可能性があると分析した。

また、北朝鮮の国境モデルについて、住民の脱出や外部情報流入を防ぐ障壁に全国攻撃能力と戦術核を組み合わせた点で旧東ドイツとも異なると指摘した。

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は2024年1月、「領海への0.001ミリの侵犯も戦争挑発とみなす」と述べ、その後も「合法的な報復行動」や先制攻撃任務に言及している。

ホン・ミン氏は、小規模な境界地域での衝突が北朝鮮の報復の名分となり、通常兵器から核威嚇へ急速に拡大する恐れがあるとした。

一方、北朝鮮が休戦協定を正式に破棄せず、国連軍司令部との連絡経路を選択的に利用している点にも注目した。2025年6~7月には遮断物工事を国連軍司令部に2回事前通知しており、南北間の連絡経路が途絶えた中で、事実上米国に向けた意思疎通だと分析した。

報告書は、境界地域の管理が北朝鮮と米国の議題として定着した場合、韓国が自国の境界安定問題で第三者になる危険があると指摘。国連軍司令部への通知経路を逆に活用し、相互通知を制度化する必要性を提起した。

さらに今後は、黄海が次の「国境化」の舞台になる可能性があるとして、北方限界線(NLL)周辺の監視・対応態勢や対艦・対潜戦力の配置、実効的支配を巡る法的論理をあらかじめ整備する必要があるとした。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News