北朝鮮が4月19日に改良型地対地戦術弾道ミサイルの弾頭威力評価に向けて実施した試験発射(c)news1
北朝鮮が4月19日に改良型地対地戦術弾道ミサイルの弾頭威力評価に向けて実施した試験発射(c)news1

【08月10日 KOREA WAVE】北朝鮮が42日ぶりに短距離弾道ミサイル(SRBM)を発射したものの、翌日になっても関連情報を一切公表していない。2026年に主要兵器の試験目的や成果を積極的に宣伝してきた姿勢とは異なり、今回はSRBM1発の発射後も報道や声明を出していない。

8月に予定される米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」に向け、強度を抑えた武力示威だったとの見方がある一方、兵器試験で期待した成果が得られず公表しなかった可能性も指摘されている。

韓国合同参謀本部によると、北朝鮮は6日午後5時ごろ、元山付近から日本海に向けてSRBM1発を発射した。しかし、朝鮮労働党機関紙・労働新聞や朝鮮中央通信など北朝鮮メディアは7日、発射について一切報じなかった。

韓国統一省関係者は、北朝鮮メディアがミサイル発射を報道しなかった例は過去にも複数あるとして、「特別な事案とはみていない。報道しない意図についても予断を持たず注視する」と説明した。

ただ、2026年に北朝鮮が実施した主な兵器試験とは様相が異なる。北朝鮮は1月の極超音速ミサイルや改良型大口径多連装ロケット砲、3月の600ミリ超精密多連装ロケット砲、4月の「火星砲11ラ」型、5月の新型兵器体系などについて、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の視察の有無や兵器名、試験目的、攻撃結果を写真とともに詳しく公開してきた。

直前の6月25日の発射でも、キム総書記の視察のもと、改良型240ミリ多連装ロケット砲や戦術弾道ミサイル、155ミリ自走砲用の射程延長弾などを試験し、翌日に大々的に報じていた。

今回は1発だけの発射で、キム総書記の視察の有無や兵器名、目的、成果も明らかにされておらず、専門家の見方は分かれている。

韓国統一研究院のホン・ミン先任研究委員は、試験で期待した結果を得られなかった可能性を指摘した。ホン・ミン氏は、北朝鮮が最近、米韓演習などに対する示威的な発射を積極的に公表してきたことを挙げ、「今回のように公表せず、相手側に認識させる方式は最近の動きと合わない」と分析した。

特に1発だけだった点に注目し、「単発発射は実験目的であることが多く、武力示威なら複数を同時発射できることを示すため、通常は2発以上を発射する」とし、新型兵器の試験で望んだ結果が得られなかった可能性が高いとの見方を示した。

一方、8月18~21日のUFSを控えた事前警告との解釈も出ている。北朝鮮は米韓合同軍事演習を「北侵戦争演習」と位置づけ、ミサイル発射などで反発してきた。

北韓大学院大学のヤン・ムジン碩座教授は「北朝鮮の意図はUFSへの反発」とし、演習期間中に追加発射する可能性が高いと予測した。1発にとどまった点については、緊張を急激に高めるのではなく、強度を調整した限定的な武力示威とみることができるとした。

今回の発射は、チョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相が大統領への業務報告で「朝鮮半島平和共存発展構想」を発表した翌日に実施された点でも注目されている。

チョン・ドンヨン氏は、敵対的な二国家関係を「統一を志向する平和的な二国家関係」へ転換し、南北と米中が参加する4者対話や平和体制の議論を進める考えを示していた。

ただ、発射時期だけを理由に韓国政府の平和共存構想への直接的な回答と断定するのは難しく、北朝鮮が発射を宣伝せず、韓国向けの声明も出していないため、全面的な対話拒否と解釈するのも早計だとの指摘が出ている。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News