ドイツでメルツ首相が辞任計画と主張する偽動画拡散、背後にロシア系情報工作組織
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【8月8日 AFP】ドイツの治安当局は、最近オンラインで拡散されたフリードリヒ・メルツ首相が辞任を計画していると主張する偽動画について、ロシア系情報工作組織が背後で暗躍しているとみている。治安筋が7日、AFPに明らかにした。
この動画は、ドイツの情報を複数の言語で発信する国外向け公共放送ドイチェ・ウェレと経済紙ハンデルスブラットのロゴやブランドを不正に使用し、メルツ氏が率いる保守与党・キリスト教民主同盟(CDU)からの流出文書によれば、支持率の低迷を受けてメルツ氏が来週辞任する計画だと主張する内容だった。
ドイチェ・ウェレとハンデルスブラットはいずれも、この動画は完全なねつ造だとの声明を出している。
ドイツ首相府はAFPへの声明で、動画の主張は「完全にねつ造されたもの」であり、「人々を混乱させ、不安に陥れること」を目的としたものだと指摘した。
CDUも「たわごと」だと一蹴した。
治安筋がAFPに語ったところによると、動画を制作したのはロシア軍参謀本部情報総局(GRU)に関連する情報工作組織「ストーム1516」である可能性が高いという。
ストーム1516は、2025年2月のドイツ総選挙の際にも偽情報を拡散した疑いがある。
フランスの外国の偽情報等によるデジタル干渉に対抗する機関「Viginum(ヴィジナム)」によると、ストーム1516は2023年末から2025年3月までの間に、西側諸国を標的とした少なくとも77件の偽情報等によるデジタル干渉に関与した。
ドイツの国内情報機関はAFPに対し、今回の動画について「制作者がドイツの政治情勢を注視し、それを都合よく利用していることを示している」と述べた。
偽動画は、メルツ氏が辞任し、同じCDU所属でノルトライン・ウェストファーレン州首相を務めるヘンドリック・ブスト氏に後を託す計画だと主張していた。
ドイツメディアは今年、実際に同じような臆測を報じており、CDUの苦戦が予想される来月のドイツ東部での州議会選挙後には、メルツ氏の退陣論が再燃する可能性がある。
だが、偽動画には明らかな誤りが含まれており、実際には予定されていない「9月の総選挙」に言及している。
偽動画では、ねつ造した主張を既存の権威ある報道機関によるニュースであるかのように偽装するという、情報工作では一般的な手口が用いられていた。
ドイツ当局はすでに、ロシアがウクライナに対する支援姿勢を弱体化させることを狙った偽情報工作や妨害工作を仕掛けていると非難している。(c)AFP