北朝鮮の地方工業工場を視察するキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=労働新聞(c)news1
北朝鮮の地方工業工場を視察するキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=労働新聞(c)news1

【08月07日 KOREA WAVE】北朝鮮は2024年に策定した地方発展政策に基づき、各地で近代的な工場の新設や既存工場の改修を進めている。軽工業品や食品など住民生活に密着した工場を整備し、平壌と地方の格差を縮める狙いとみられる。

この事業は、10年間にわたり毎年20地域に工場や医療拠点などを建設する「地方発展20×10政策」と呼ばれる。ただ、事業開始から3年が経過する中、工事の不備や設備の遅れなど、北朝鮮の工業水準の限界も表面化している。

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、2025年12月に完成した平壌市江東郡の食品工場をキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が視察した際の逸話を紹介した。

同紙によると、キム総書記はミカンジュースを試飲した際、瓶ごとに中身の高さが異なることを見つけ、改善を指示した。現場の誰も気づかなかった違いをキム総書記だけが発見したとして、その能力を強調した。

しょうゆやみその包装室では、みそに酸味があると指摘した。測定の結果、酸度が基準値を0.02%上回っていたといい、同紙はこれもキム総書記だけが見抜いたと宣伝した。

こうした逸話は、住民生活を細かく気遣う指導者像を強調するために脚色された可能性がある。一方で、近代化の象徴として建設された工場が、飲料の容量を一定に保てず、食品の品質管理にも課題を抱えている実態を逆に示した形だ。

一般的な瓶入り飲料の生産工程では、一定量を注入した後にセンサーで充填量を確認し、基準外の商品を取り除く。北朝鮮では、こうした設備を十分に導入できていないとみられる。

一部の地方工場では、慢性的な原材料や電力の不足により生産に支障が出たり、製品の品質が低下したりしているという。衛星画像の分析などから、完成後も稼働せず放置されていると報じられた工場もある。

北朝鮮は2026年も同政策に基づき、20市・郡で工場などの建設に着手したと発表した。近代的な工場に加え、医療拠点や複合商業施設に似た総合サービス施設も整備し、地方住民の生活水準を引き上げる計画だ。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News