【8月12日 東方新報】中国国家自然博物館で開催中の特別展「ティラノサウルス T-REX――恐竜の王」が、SNSで大きな話題を集めている。展示会場にはティラノサウルスの化石や科学的な復元模型に加え、テレビアニメ『デジモン(Digimon Data Squad)』のアグモン、グレイモン、メタルグレイモン、ウォーグレイモン、『ポケットモンスター(Pokemon)』のガチゴラス、『モンスターハンター(Monster Hunter)』のイビルジョー、『ゴジラ(Godzilla)』など、人気アニメやゲームに登場する恐竜・怪獣のフィギュアや模型も展示されている。

本物の化石と人気IPを組み合わせた展示は、「若者のことをよく分かっている博物館」とSNSで話題となり、「リザードン(ポケモンのキャラクター)はドラゴンタイプじゃないから展示されていないのが徹底している」「まるで映像作品に登場する恐竜の歴史館だ」といったコメントも寄せられた。一方で、「科学とフィクションの境界が曖昧になる」との指摘もあり、展示手法をめぐる議論も広がっている。

近年、中国では博物館が従来の展示の枠を超えた新たな試みを次々と打ち出している。深セン博物館(ShenZhen Museum)では、「今日の深セン」と題した展示で、木製サンダルや社員証、使い古されたくしなど、出稼ぎ労働者が実際に使っていた生活用品を収蔵・展示し、急速な都市発展を市民一人ひとりの暮らしから伝えている。また、中国国家博物館は、歯でかむと展示解説が聞こえる音声ガイド付きキャンディーを発売。さらに江蘇省(Jiangsu)塩城市博物館(Yancheng Museum)では、館蔵文化財を森林リゾートに展示するなど、体験型展示にも取り組んでいる。

人気IPとのコラボレーションやAIの活用、関連グッズの開発など、「文博+」による新たな取り組みは、若い世代を博物館へ呼び込む有効な手段として注目されている。今回の展示について、中国国家自然博物館は「展示をより身近で分かりやすいものにし、来館者が恐竜の世界へ自然に入り込めるよう工夫した」と説明している。

一方で、博物館の価値は話題性だけでは測れない。来館者を館内へ呼び込むことは第一歩にすぎず、展示を通じて歴史や文化への理解を深めてもらうことこそ、本来の役割だ。人気コンテンツや関連ビジネスは文化財の価値を伝えるための手段であり、それ自体が目的になってはならない。

浙江省(Zhejiang)文物局の朱海閔(Zhu Haimin)局長は、「博物館がまず考えるべきなのは、その土地に本当に必要な文化の受け皿とは何か、人びとにとってどのような精神的な拠り所となるべきかということだ」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News