【8月5日 AFP】スコット・ベッセント米財務長官は4日、日米両政府が実施した円買いの歴史的な協調介入について、円安の進行が他のアジア市場を直撃するリスクがあったためだと述べ、現状を1990年代後半のアジア通貨危機になぞらえた。

1998年以来28年ぶりとなる先週の日米による円買い介入は、円相場が1ドル=164円近くまで下落し、約40年ぶりの円安水準となったのを受けて実施された。

ベセント氏は4日のCNBCテレビのインタビューで、「アジア通貨危機の一因は行き過ぎた円安にあったと認識している。つまり、円の安定は米国だけでなく、(アジア)地域全体にとっても極めて重要だ」と語った。

さらに「円が大幅に下落すれば、他の通貨も追随することになる。韓国ウォンには過度な変動が見られ、中国人民元も大幅に過小評価されていると多くの人がみている」と指摘。

「したがって貿易フローや(日本)経済の規模、国際貯蓄市場への貢献を考慮すると、円の安定は非常に重要だ」と付け加えた。

貯蓄に関する発言は、米国債の最大保有国である日本が単独介入の資金調達のために米国債を売却し、米国の債券利回りに上昇圧力をかけるのではないかという米国側の懸念に言及したものとみられる。

専門家によると、ドナルド・トランプ米政権には米国の貿易赤字削減を図る意図(円安は日本の輸出企業に有利に働くため)や、日本が2025年の貿易合意で約束した米国への5500億ドル規模の投資を円滑に進めさせる狙いもあったとされる。

7月31日の協調介入前、日本政府・日銀が数千億ドル規模を投じて円買い介入を行ったにもかかわらず、円安傾向は数か月間続いていた。

円安の背景には、日米の金利差、原油価格の高騰、そして高市早苗首相の積極財政による財政赤字のさらなる拡大に対する懸念などが挙げられる。

ベセント氏は、為替介入で市場にシグナルを送ることはできても、最終的に円のレートを決定付けるのは日本政府と金融当局の「政策およびファンダメンタルズだ」と述べた。

ゴールドマン・サックスの専門家は、「この介入は、世界的な成長見通しや国内政策の組み合わせに実質的な変化が伴わなければ、一時的な救済にとどまる可能性が高い」と指摘。

「米財務省の関与が日本国内のより重大な政策転換の前兆であるかについては懐疑的だ」「米財務省としては、円相場についてはっきりとした予測を持っているというよりは、米国債市場における好ましくない乱高下の可能性を最小限に抑えるため、日本当局と協力する『低コストな選択肢』とみなして協調介入を実施した可能性がはるかに高い」と付け加えた。(c)AFP