推し活が進化 中国で人気の「電子バッジ」
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【8月13日 CNS】このほど、上海市で開催されたアニメ・ゲームイベントで、アニメファンの月月さん(仮名)のリュックには、従来の金属製缶バッジではなく、小型の円形ディスプレーが取り付けられていた。画面にはお気に入りのアニメキャラクター「五条悟」の画像がアニメーションで映し出されている。バッグや服、スマートフォンケースの背面などに取り付けられるこの円形ディスプレーは「電子バッジ」と呼ばれ、中国の若者の間で人気を集めるデジタルガジェットとなっている。
「電子バッジ」は、近年中国で拡大している「谷子(グッズ)経済」から生まれた商品だ。当初は新興ブランドが100元(約2307円)前後で販売していたが、市場の拡大に伴い、オッポ(OPPO)や栄耀(HONOR)、インスタ360(Insta360)など中国の大手メーカーも参入し、現在の価格帯は400~700元(約9229〜1万6151円)程度となっている。
多くの製品は、推し活グッズとしての要素とデジタル機器としての機能を兼ね備えており、リモート撮影や画面プレビューに対応するほか、マグネット式でスマートフォン背面に装着し、サブディスプレーとして利用できるものもある。
月月さんは、「電子バッジが一つあれば、何枚もの缶バッジを持っているのと同じ」と話す。魅力は画像を自由に切り替えられることだけではない。同じキャラクターのファン同士が集まれば、本体を振るだけで画像を交換でき、限定グッズを探し回る必要もなく、「サイバー推し活(デジタル上でアニメやゲームのグッズを楽しむこと)」が実現できるという。
画面には好きなアニメキャラクターだけでなく、猫や犬なども表示できる。一部の製品には電子ペット育成機能も搭載されており、単なる表示用グッズから、ユーザーに寄り添うデバイスへと進化している。
利用者の小冰さん(仮名)は、「机に置いて画面の中のペットが眠る様子を見ていると、子どもの頃に遊んだ『たまごっち(Tamagotchi)』を思い出す」と話す。画面内のバーチャルペットと気軽に触れ合えるため、ちょっとした空き時間にも癒やしを得られるという。
さらに、一部メーカーはAI技術も取り入れ、多言語での対話やAI音声クローン機能を搭載。好きなアニメキャラクターの声を登録すれば、まるでキャラクターと会話しているような体験ができるといい、従来のグッズにはない新たな価値を生み出している。
「電子バッジ」の人気は、中国のコンシューマー向け電子機器市場の変化も映し出している。中国情報通信研究院によると、2026年1~5月の中国市場におけるスマートフォン出荷台数は1億1400万台で、前年同期比3.6%減となった。一方、スマートフォンの平均買い替え周期は40.2か月と、5年前より15カ月延びている。
スマートフォン市場が成熟する中、大手メーカーは周辺機器を通じて若年層市場の開拓を進めている。業界関係者は、「以前は性能や価格が購入の決め手だったが、今の若者は個性や感情的な満足感を重視するようになっている」と指摘する。Z世代の消費は、性能や価格を重視する「コストパフォーマンス(性価比)」から、感情的価値や自己表現を重視する「情緒的価値(情価比)」へと変化しつつある。(c)CNS/JCM/AFPBB News