[KWレポート] 猛暑に追いつかない制度と命——「40℃時代」を迎えた韓国の現実(中)…熱中症の労災認定が5年で約6倍
このニュースをシェア
【08月04日 KOREA WAVE】韓国で猛暑が深刻化するなか、職場で熱中症による労災認定を受けた労働者が5年間で約6倍に増えたことが分かった。政府は休憩の義務化や現場監督を強化しているが、死亡事故は毎年のように発生しており、制度を現場で機能させる対策が求められている。
勤労福祉公団の資料によると、熱中症による労災認定は2020年の13件から2025年には77件へ5.9倍に増えた。2021年は19件、2022年は23件、2023年は31件、2024年は51件だった。2026年も5月までに18件が申請され、12件が認定された。
熱中症による労災認定死亡者は、2021~2025年に計24人に上った。内訳は2021年3人、2022年7人、2023年3人、2024年6人、2025年5人だった。2026年は5月までに、災害発生日を基準とした認定死亡者は確認されていない。
ただし労災統計は事故発生日と認定時期が一致しない場合があり、現在審査中の案件は含まれない。
韓国雇用労働省は2025年、建設現場や商業施設の駐車場、宅配現場などで死亡事故が相次いだことを受け、猛暑を「気候災害」と位置付けて対策を強化した。
改正された産業安全保健基準規則では、体感温度33度以上の場所で作業する場合、事業主が2時間以内ごとに20分以上の休憩を与えることを義務付けた。
体感温度33度以上では作業時間の調整や屋外作業の短縮、35度以上では午後2~5時の屋外作業中止、38度以上では緊急作業を除くすべての屋外作業中止を勧告している。ただし、作業中止は法的義務ではなく、勧告にとどまる。
政府は冷たい水や冷房設備の確保、2時間ごとの休憩、保冷用品の支給、緊急時の通報を柱とする「猛暑安全5大基本原則」も周知している。全国の猛暑脆弱事業所1000カ所を対象に抜き打ち監督を実施し、従業員50人未満の事業所には移動式エアコンなどの導入費として280億ウォン(約30億8000万円)を支援している。
しかし工期や納期に追われる中小・零細事業所や下請け現場では、作業中止の勧告が実際の中断につながりにくいとの指摘がある。法的義務である休憩も形式的な運用にとどまる可能性があり、日雇い労働者が収入減を懸念して無理に作業を続けるケースも考えられる。
中小建設現場の責任者は「暑いからこそ早く終わらせようという意識が働き、作業をやめようと言い出しにくい」と話した。
専門家は、休憩や作業中止の基準には予防効果があるものの、現場管理者が危険な状況で積極的に休ませる必要があると指摘する。大企業と中小企業の間には対策の実施状況に大きな差があり、元請けが作業中止を指示しても、実際には労働者が現場に残るなど制度と現実の隔たりもあるという。
経営側は、一律の作業中止義務が生産減少や納期遅延、工期延長につながると懸念する。一方、世界保健機関と世界気象機関の報告では、人体が受ける熱ストレスを示す指標が20度を超えた後、1度上昇するごとに労働生産性が2~3%低下するとの研究結果も示されている。
専門家は、猛暑対策を事業所だけに任せず、業種別の基準整備に加え、中小・零細事業所への冷房設備や休憩費用の支援、現場監督を並行して進める必要があると強調している。
(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News