【8月7日 東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)金華市(Jinhua)黄林坑村は山深い場所にあり、県城から車で約1時間。村の約8割の農家が養蜂を営むことから、「浙江省中部一の養蜂村」と呼ばれている。一方で、都市化の進展に伴い、若者の流出や空き家の増加といった課題も抱えている。

近年、村では発想を転換し、インフラ整備を進めてデジタルノマドワーカー(インターネットを活用し、場所に縛られず働く人びと)の誘致を推進。現在では各地から25人が滞在し、村幹部とともに特産品とコーヒーを組み合わせた「蜜珈館(みつカフェ)」をオープンするなど、地域活性化に取り組んでいる。

今年6月下旬、2カ月以上村で暮らしていた5人のデジタルノマドワーカーが、「AI写真館」を始めた。広東省(Guangdong)出身の鄧麗英(Deng Liying)さんは、「最初は自分たちが村を助けていると思っていたが、実際には村が私たちを受け入れてくれていた」と振り返る。

南京市(Nanjing)出身の杜曄(Du Ye)さんらは、村の高齢者にはきちんとした写真がほとんどないことに気付いた。「一度も写真館へ行ったことがない人や、年を取ったから写真は撮らなくていいと思っている人、人生の物語が記録されないままの人も多かった」という。そこで若者たちは各家庭を訪ね、古い写真を集めながら人生の思い出を聞き取り、AIで新たな写真を制作した。

70歳の蔡月香(Cai Yuexiang)さん夫妻には結婚写真がなかったため、2人の写真をもとにAIでウエディングフォトを作成した。しかし、蔡さんは「自分らしくない」と一言。ボランティアたちは古い写真を参考に細部を何度も修正し、表情や面影が本人に近づくまで調整を重ねた。完成した写真を見た蔡さんは、しばらく手に取って眺めていたという。

69歳の蔡安光(Cai Anguang)さんは旅行好きだが、一度も台湾を訪れたことがないのが心残りだった。そこでボランティアはAIを使い、台北の街に立つ姿を再現した。写真の中の蔡さんは、満面の笑みを浮かべていた。

4日間で約30世帯を訪問したこの取り組みは、村の「蜜珈館」から始まった。杜さんは、「『蜜珈館』から『AI写真館』へと活動は広がった。より多くの若者が農村に足を運び、地域に活気が生まれることを願っている」と話している。(c)東方新報/AFPBB News